著:ニック・レフォース
人生は一つの流れです。
私たちはその流れから特定の出来事を人生における始まりや終わりとして区切っています。
これはある意味当然のことです。
子どもの誕生、大学への入学、卒業、結婚、親の死など、これらすべての出来事はマーカーとして機能し、私たちはその周りにストーリー(物語)を構築したりします。
私たちのストーリー・マインド(物事を物語を通じて捉える考え方)は、
出来事の流れを始まりと終わり、そしてドラマ、緊張、対立、ユーモアなどを含む中間部分のアーク(物語の横糸)に切り分けることで人生の意味を理解します。
これらは魅力的なストーリーテリングの材料であり、私たちのマインドはドラマ、ミステリー、サスペンス、時にはホラーが大好きです。
しかし時として、私たちは自分のストーリー化された人生に翻弄されてしまいます。
人はパターンを検出するのが得意であり、
人生における認識されたパターンを描写するためにストーリー・マインドを使います。
私たちはよく、一連の出来事を区切り、次に言語学者が「普遍的数量詞」と呼ぶもの、
つまり「いつも」「絶対に」のような言葉を使って、そのストーリーを自分の人生全体に適用されるものとして一般化します。
多くの場合、これらの一般化されたパターンは自滅的です。
おそらくあなたは、「これはいつも私に起こることだ」と誰かが言っているのを聞いたことがあるかもしれませんし、
あるいはあなた自身が言ったことがあるかもしれません。
この冒頭の言葉「これ」は、始まり、中間、終わりを持った自分のマインドにあるストーリーというパターンを封じ込めています。
言い換えれば、私たちは特定の方法で人生の一連の出来事に区切りをつけているのです。
この区切りは自分の人生の流れから、認識された「連続」を強調し、その連続またはその影響を自分の人生全体に適用します。
それにはある程度の妥当性があるかもしれません。
しかし、それはせいぜい一時的な真実に過ぎず、決して全体像ではありません。
人生は続くのです。
ひと度一連の出来事を区切り一般化してしまうと、私たちはそれが真実であるかのように人生を送ってしまいます。
言い換えれば、私たちはそれを自己実現的な予言に変えてしまうのです。
一連の出来事をどのように区切るかによって、そこから読み取れる意味がまったく違ってきます。
言語学的に言えば、句読点などで区切ることは、読者がページ上で単語の連なりを読むときに意味を理解するのに役立ち、どの単語が相性がよいか、
単語のグループが互いにどのように関連しているか、いつ間を置くべきか、一つの文や考えがいつ終わり、別の考えがいつ始まるのかを読者に伝えます。
これは、意図したとおりに意味を伝える上で非常に役立つ方法です。
次のような単語の連なりを考えてみましょう。
「A woman without her man is nothing」
句読点によって意味が大きく変わることに気づいてください。
バージョン1:英文
A woman, without her man, is nothing.
バージョン1
女性は、男性がいなければ無価値である。
バージョン2:英文
A woman, without her, man is nothing.
バージョン2
女性がいなければ、男性は無価値である。
人生において、自分のストーリーを変える最も簡単な方法の一つは、特に始まりや終わりをどのように区切るか、何を区切り出すかを変えることです。
例えば、「出世するたびに、何かが起こり人生に打ちのめされる」と言う人がいるとしたら、
その人は、「出世」で始まり「打ちのめされる」で終わるストーリーを作り出し、一連の出来事を封じ込めています。
もちろん、これはその人が経験に紐付ける認識、評価、意味付けに基づく一般論です。
そして、それは「出世」と見なされるすべての出来事について当てはまるとは思えません。
さらに興味深いのは、「打ちのめされる」で終わっていることです。
この連続がどんな場合でも真実であるためには、彼女が「打ちのめされる」ときは必ず、なんとか動き出して再び「出世する」ことも真実でなければなりません。
認知科学者は、私たちがストーリーをどのように終わらせるかによって、経験が遡及的に塗り替えられることを発見してきました。
ストーリーを「打ちのめされる」という結末で終わらせると、
努力全体に薄暗い陰を投げかけますが、「出世する」という結末で終わらせると、心が軽くなり、気持ちが高揚します。
人生に対する区切り方を変えることは、自分の人生経験を管理するための最も強力なツールの一つとなります。
これは簡単にできることで、自分の見通し、行動、そして結果に大きな違いをもたらします。あなた自身でも試してみましょう。
特に「いつも」起こる、あるいは「毎回...」というパターンになっている、あなたが語るストーリーを考えてください。
そのストーリーがどのような結末で終わるのかに気づきましょう。
ネガティブな結末で終わるのであれば、その一つ前に起こったネガティブな結末をストーリーの冒頭にし、
そこから続くポジティブな体験につながる出来事や行動を結末として、区切り直すことができます。
そして、「【ネガティブな出来事】が起こるたびに)私は【ポジティブな出来事】にたどり着く」という順序で言い直します。
2つのバージョンにおけるあなたの体験の違いに気づくことでしょう。
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NLPトレーナー ニック・レフォース(Nick LeForce)プロフィール
著者より許可をいただき掲載しています。
https://nick-leforce.squarespace.com/blog/2018/7/17/a-little-tool-to-change-your-life
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