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2024.07.17 心理学

ポジティブ心理学とは?ビジネスや人生に活用できる注目の科学

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今、心理学の世界で注目されている分野があります。
仕事や人生で幸福を持続的に感じるための研究、それがポジティブ心理学です。

  • ポジティブ心理学とは具体的にどういうものか。
  • ポジティブ心理学を学ぶとどうなるか。
  • ポジティブ心理学によって何が実現するのか。

こういったことをポイントに今回の記事を作成しました。

ポジティブ心理学を理解し、実践することで、

  • ものごとを前向きに楽観的に明るく考え、いい感情を多く味わえる
  • 何か好きなことに集中して、没我できる体験を増やすことができる
  • 他者とよりよい関係性を能動的に築くことができるようになる
  • 仕事だけでなく、家族や社会、そして人生に対して、意味や意義を見出せる
  • 価値ある目的や目標を手に入れ、達成感や充実感を体験することができる

以上のようなことがポジティブ心理学では言われています。

これらは本当なのか?

私は約25年間、NLP(神経言語プログラミング)をはじめとした実践的な心理学をお伝えしてきた専門家として、仕事や人生の悩みや目標達成のための課題をもった人たちから多くの相談を受けています。そのなかで、今回のようなポジティブ心理学のやり方や考え方を提案することもあり、

その現場でも実際に、

  • 建設的なものの見方ができるようになった!
  • 自分の強みを仕事で発揮することができた!
  • ポジティブな状態が自然に感じられるようになれた!
  • 目標が達成できた!
  • 職場での人間関係が改善された!

と、うれしい報告を受けています。

つまり、ポジティブ心理学は、幸せや人生の満足度をあげる机上の研究ではなく、実際に仕事や人生に使える実践的な心理学と考えられます。

個人だけでなく、職場をはじめとするグループや制度に対してのアプローチも、研究されているポジティブ心理学の基盤や軸、そしていくつかの具体的な方法をここではシンプルにお伝えしています。

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目次

    1.ポジティブ心理学とは

    ポジティブ心理学とは、心理学における「立場」のことです。

    1998年にマーティン・セリグマンが、アメリカ心理学会の会長に選出された際、これまでの心理学は「うつ」「無気力」といった精神疾患など、どちらかというと心のネガティブな側面に研究の焦点があったとし、これからはそれと同様に、人が持つ心理のポジティブな側面に焦点を当てていこうと提唱したのが、ポジティブ心理学の始まりです。

    人の心の欠点に中心を置くのではなく、可能性、成長、自己実現に焦点を当てる心理学として有名なのが、「人間性心理学」のカール・ロジャースや自己実現の概念をうたうアブラハム・マズローなどが挙げられます。

    しかしこれまでの心理学は検証性に乏しく、科学的な枠組みが根づいていないとされていました。それらを補うべく、ポジティブ心理学は、科学的な枠組みを尊重する心理学として発展してきました。

    近年では、先にご紹介した人間性心理学、また当時画期的とされた論理療法、またNLP(神経言語プログラミング)で人生の成功をうたうアンソニー・ロビンス、古くはアリストテレスの哲学や各国に根づく宗教といった幅広い分野から、以下のテーマを探求する学問となっていきました。

    「人が幸せになるには。また人生の満足感や充実度を向上させるには」

    誰か一人が考えた安易なメッセージではなく、科学的根拠や研究に基づく理論をもちいたポジティブ心理学は、個人的な幸福度の向上はもちろん、仕事の成功やチームビルディング、またコーチング・カウンセリング手法、さらに「よりよい制度」といった分野で、その研究対象が広まっています。

    ポジティブ心理学の父とよばれるセリグマン自身も研究を進めていくうえで、その主張が進化しています。

    セリグマンの初期の考えである幸福理論では、「快楽とポジティブ感情」「夢中になれるもの」「人生の意味」の3つが重要だと伝えています。しかし近年ではさまざまな研究が進み、次章でご紹介するPERMAが、新しい理論「ウェルビーイング理論」の柱であると主張しています。

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    2.5つの柱PERMA

    セリグマンは「幸福理論」から、一時的な幸せということではなく持続的な幸せが重要で、計測が可能であるように、「ウェルビーイング理論」へとポジティブ心理学のテーマを展開していきました。

    ウェルビーイング(より良い状態)とは、幸せを構成する要素であると言います。
    その柱となるのが以下の5つの構成要素です。

    この章ではその5つの柱とともに、各研究者が述べている考え方も含めてご紹介します。

    2-1.Positive Emotion:ポジティブ感情

    ポジティブ感情とは、愛、喜び、笑い、感謝といった肯定的な感情です。

    「砂糖は甘い」ということに説明はいらないのと同様に、幸せには当然このような感情は必要ですが、ポジティブ心理学ではポジティブ感情の効果を以下のように考えています。

    ポジティブ感情の効果は、ネガティブ感情を打ち消し、レジリエンス(対処や回復力)や個人的資源を高め、思考や行動の選択肢を広め、人々を変容し、人生上昇のスパイラルを生み出す。

    ポジティブ心理学のコペルニクス的発見の一つと言われる、「成功して幸せになるのではなく、幸せだから成功する」、つまり幸せな気分でいると、脳の学習効果を高め、創造性や記憶力、また新たな問題解決の切り口を見出せるといった研究結果が出ています。

    ちなみにこの「ポジティブ感情」研究の第一人者と言われるフレドリックが唱えるポジティブ感情は「喜び」「感謝」「安らぎ」「興味」「誇り」「愉快」「鼓舞」「畏敬」「愛」「希望」の10個です。

    2-2.Engagement:没頭や没入

    このエンゲージメントとは、時間を忘れて夢中になったり、何かに集中していて、そのことすら気づいていない没頭の状態で、チクセントミハイの「フロー」、近い感覚としてはアスリートたちの「ゾーン」とよばれる感覚です。

    つまり幸せになりたければ、何かに没頭できたり、夢中になれる何かを見つけること。
    そして、それ自体を楽しめるようになることで、仕事の効率や生産性、パフォーマンスが高まる、といった考え方です。

    このエンゲージメントの働きによって、先にご紹介した「ネガティブを防ぐ」という効果も、ポジティブ心理学の主張の一つになっています。

    2-3.Relationship:豊かな人間関係

    他者とのかかわりやつながりは、人生の幸福度に大きな影響を及ぼします。

    愛や許し、また感謝についての研究も加味され、能動的、かつ建設的に人と話すこと、そして他者と自分を比べず、「人に貢献することで、自分も幸せになる」という結論をポジティブ心理学の研究で明らかにされています。

    他者の体験を共有するミラーニューロンの研究も加味され、笑顔が多いグループとともにいることで、先にご紹介したポジティブな感情を増やすことができ、心をむしばむようなグループとの接触は避けることができます。

    ハーバード大学の心理学でもっとも長い研究と言われるその内容は、人が幸せを感じるためには愛が必要である、もっと具体的に表現すると、「心から支えられていると感じられる人間関係である」と結論づけています。

    2-4.Meaning:人生の意味や意義

    「価値観」「モチベーション」、そして「人生の目的」に関することです。

    人生で何が大切か、何が重要か、そして優先することは何かを知り、その活動を増やしていくことで、幸せで健全な状態が向上するという考え方です。

    また、自分の「強み」を生かしていくこと、また自分より、より大きな何か(家族や職場や社会、そして自然など)に貢献していくことで、人生は充実してくるという考え方です。

    2-5.Accomplishment (Achievement):達成、完遂、マスター

    何かを成し遂げた、完了した、マスターした、という何かを達成することで、人生が満たされていくという考え方です。

    人生には「勝つ」「達成する」ということが必要で、こういった勝利や達成の体験は、先に述べたポジティブ感情やエンゲージメントを生み出していくと言われています。

    「人生の意味や意義」にも出てきますが、価値があると思える目標を追求する生き方が、幸せな生き方の一つとして考えられています。

    ※最初は達成を意味するアチーブメント(Achievement)が挙げられていましたが、近年ではアコンプリシュメント(Accomplishment)と表現されています。

    以上のような考え方がポジティブ心理学の基盤となる考え方です。

    これらの考え方だけでも、あなたの日常に落とし込むことによって、小さな変化が積み重なり、大きな違いを生み出していけることが、私自身の経験、そして研修やコーチングの現場からわかっています。

    3.ポジティブ心理学を支える7つの鍵

    先にご紹介したPERMAの他、ポジティブ心理学を支えるいくつかのキーワードや考え方があります。ポジティブ心理学には、各研究者たちの独自の見解や切り口で展開している文献が多数あるため、この章では、なかでもメジャーかつよく出てくるものをご紹介していきます。

    3-1.主観的ウェルビーイング

    海外旅行に行った、宝くじが当たった、などの一時的な快楽を「幸せ」とよぶのではなく、持続的幸福感が重要であると考え、「幸せ」(Happiness)と区別するために「主観的ウェルビーイング」(Subjective Well-being)という表現をしています。

    基本的なものが満たされるまではお金は大切ですが、ある程度満たされるとお金では人生の満足度を増やすことができないと研究で明らかにし、主観的ウェルビーイングの公式を以下のように公表しました。

    主観的ウェルビーイング
    =「人生の満足度」+「高いポジティブ感情」+「低いポジティブ感情」

    ※「人生の満足度」とは、理想の人生に対する現実への評価のことです。ギャップが大きければ、満足度は低いということです。

    つまり、幸せで健全な状態を手に入れたければ、理想と現実のギャップを埋め合わせながら、ポジティブ感情を増やし、ネガティブ感情を減らすこと、という考え方です。

    3-2.幸せの公式

    幸せの公式とは、「幸せは何で決まるか」という研究結果を示したものです。

    H(100%)=S(50%)+C(10%)+V(40%)

    • Hは、Happiness:幸せ。
    • Sは、Set range:幸せの設定値。遺伝による性別や身長などで、大半のことを経験しても元に戻れる幸せの範囲という意味です。
    • Cは、Circumstance:環境や状況のこと。結婚や職場、住んでいる場所などのことです。
    • Vは、Voluntary control:自分の意思による、コントロールされた行動や活動を意味します。

    幸せは、「遺伝」と「環境」と「自分の意思による行動」で決まる、という公式です。

    遺伝については、幸せ体質や不幸体質といったものではありません。何が自分を楽しませるのか、喜ばせるのか、その要因は遺伝にあるという考えです。
    環境はいわゆる「慣れ」によって変わるので、幸せには10%しか影響がないということを意味しています。

    この公式の一番の主張は、自分の意図的な行動や活動によって、幸福度をコントロールできる可能性が40%あるということです。この40%を活用していこうというのが、ポジティブ心理学の主張です。

    3-3.フロー

    フローとは、PERMAの一つであるENGAGEMENT(エンゲージメント)の基礎となったチクセントミハイが提唱する概念です。

    幸福、喜び、楽しさ、そして至高体験の研究でわかったことは、活動に没入すること、フロー状態を体験することです。

    このフロー状態で得られるものは、「自己コントロール感」や「高いパフォーマンス」、そして「やることそのものへの喜び」があり、その条件として挙げられるのが、

    • 明確な目標とフィードバック
    • 能力向上を必要とする挑戦的活動であること
    • 呼吸をしているという自覚がないほどの「今していること」への注意集中
    • 難解な課題や困難な状況を統制しようとする感覚
    • 忘我の感覚。いつもの日常の外にいるような感じ

    などがあります。

    フロー理論で有名なのは、以下の図のように人は何かに取り組む際には、「A1からA4のような段階を経ながらフローに入る」という概念があります。

    最初は何かに向けて取り組もうとする、A1という領域のフロー体験が起き、しばらくすると同じ課題では退屈状態が起こってきます。(A2)
    このとき、課題を高くすることによってA4という領域のフロー体験をすることができます。

    またA1から課題を高く設定しすぎてしまうと不安領域(A3)に入るため、スキル開発をしながら、A4の領域に入るという流れが生まれます。

    このような考え方を仕事や人生に活かすことによって、持続的幸福感を手にできると考えています。

    もし、あなたが日常の中に幸福感やウェルビーイングを手に入れたければ、価値ある何かと、適切な難易度がある課題、そしてそれに必要なスキル習得が必要だということです。

    参考文献:フロー体験 喜びの現象学 ミハイ・チクセントミハイ 世界思想社

    3-4.楽観主義

    現実逃避するわけではなく、文字通りに楽観的に考えて、気分をいい状態にしておくことです。

    楽観主義者の特徴は、不運に見舞われたときに、それは一時的なもので、その原因もこの場合に限られていると考えます。また、自分のせいではなく、そのときの状況や、他の人々がもたらしたものと考える傾向があります。

    悲観主義者の特徴は、その事態は一時的ではなくこれからも長く続き、自分は何をやってもうまくいかないだろうし、それは自分が悪いからだと思い込む、というものです。

    これは遺伝ではなく、「説明スタイル」によるものと考えられています。

    ■楽観主義者の「説明スタイル」

    • 悪い出来事に対して
      外的(自分の他に原因がある)、一時的、限定的

    ■悲観主義者の「説明スタイル」

    • 悪い出来事に対して
      内的(自分に原因がある)、永続的、普遍的

    以下にその反応の例をご紹介します。

    出来事 楽観主義者の発言 悲観主義者の発言
    良い出来事
    (試験に合格)

    【内的】
    俺はすごいことをやり遂げた。

    【永続的】
    俺には才能がある。

    【普遍的】
    試験シーズン、幸先いいスタートになった。他の試験も簡単に違いない。

    【外的】
    どうして合格できたのかわからない。運が良かっただけだろう。

    【一時的】
    誰だって一度ぐらい、いいことはある。

    【限定的】
    だから何だというんだ。次の試験は落ちるかもしれない。

    悪い出来事
    (試験に不合格)

    【外的】
    試験の問題がひどかったんだ。

    【一時的】
    問題ないさ。次回は合格する。

    【限定的】
    昨日は誕生日だったしな。。。

    【内的】
    すべて自分が悪いんだ。準備が足りなかった。

    【永続的】
    これからもこの試験には合格できないんだ。

    【普遍的】
    俺の夢は終わった。なりたい自分にはなれない。

    ポジティブ心理学が1冊でわかる本 イローナ・ボニウェル 国書刊行会

    悲観主義者は、楽観主義者より簡単にあきらめ、今に滞り、負のスパイラルに入りますが、楽観主義者は今をすぐに処理し、健康で、未来を見ていく力、希望があるということです。

    3-5.レジリエンス

    これは先にご紹介した楽観主義の考え方と関係してきますが、物事への対処やネガティブな出来事からの回復を意味するレジリエンスのいくつかのアプローチの一つとして、「ABCDEモデル」が提案されています。

    「ABCDEモデル」とは、論理療法を開発したアルバート・エリスの手法をベースにしています。まずはABCの説明です。

    Affaire:困った状況
    Belief:思い込み
    Consequence:結果としての感情や行動

    「困った状況」から結果として生じた「ネガティブな感情や行動」を確認したあと、その感情や行動はどのような「思い込み」から発生したのかを見つけます。

    そして、以下の二つのステップをたどります。

    Disputation:思い込みに対する反論
    Effect:効果

    その思い込みを論理的・合理的に「反論」して、ネガティブ感情や行動をポジティブに変化させる「効果」を確認するというステップです。

    思い込みの種類として以下の項目が挙げられます。

    • 相応しさ:「それは私には相応しくない」「向いていない」
    • べき/ねばならない:「こうあるべきだ」「やるべきではない」「しなければならない」
    • 憶測:「どうせ悪いことが起きる」「簡単にうまくいかない」「いったとしても次はダメ」
    • 無能力:「私は英語が苦手だからできない」「頭が悪いから無理だ」
    • 無価値感:「私は幸せになる価値がない」「私は人に愛される価値がない」
    • 自責・他責「うまくいかないのは自分のせいだ」「うまくいかないのは他人のせいだ」

    また思い込みに対する反論としては、以下のような質問を活用します。

    • その思い込みの根拠や証拠はあるのか?
    • その思い込みはどれだけ現実を機能させるか、有効か?
    • その思い込みは、あなたを成長させるか?
    • もしその思い込みが本当なら、それはどんな意味をもたらすのか?
    • 別な見方や考え方はできないか?

    ※ポジティブ心理学のいくつかの文献では、最後の二つのステップに以下の意味が付随しています。
    D:Distractor(気晴らし)/Distancing(遠ざける・距離を置く)
    E:Energize(活力・エネルギー)

    3-6.強み(キャラクターストレングス)

    これは能力の強みだけではなく、個性としての強みを意味します。

    この強みが特定され発揮されているとき、人は人生の充実度や満足度が高まると研究から明らかにされており、具体的には、「知識や知恵」「勇気」「人間性」「正義」「節制」「超越性」の6つがあると結論づけています。

    詳細に分けると以下のようになります。

    ■知恵や知識

    • 創造性:新しいアイデアを創り出すことができる
    • 好奇心:現在起きているさまざまな物事に興味をもち、探求と発見することができる
    • 向学心:新たなスキルやテーマをマスターし、学び続けることができる
    • 柔軟性:物事を公平に見ながらさまざまな側面から考えを変えることができる
    • 大局観:他人への賢明で適切な助言を与える力と、人や自分も含めて意味を成すような世界観を持つことができる

    ■勇気

    • 勇敢:脅威や試練、困難にひるまず立ち向かうことができる
    • 忍耐力:粘り強く続けて、達成することができる力。課題達成を喜べる
    • 正直/誠実:正直に誠実に自分を飾らず、自分の気持ちや行動に責任をもつ
    • 熱意:情熱をもって躍動感を感じながら物事に取り組むことができる

    ■人間性

    • 親切心:他人のことを思いやり、人のために尽くすことができる
    • 愛情:人との親密な関係を大切にして、人から愛し愛される双方向を大切にする
    • 社会的知性:人の感情を共感的に読み取って理解し、場にふさわしい行動ができる

    ■正義

    • チームワーク:チームの中での自分の役割を果たし、尽くすことができる
    • 公平さ:個人の感情や偏見をもたずに、平等に人と接することができる
    • リーダーシップ:属するグループを励まし、良い関係を築きながら、事を成し遂げる

    ■節制

    • 寛容/慈悲:他人を許したり、受け入れることができ、次のチャンスを与えることができる
    • 慎み/謙虚:謙虚で身の丈以上に自分を特別視しないでいられる
    • 慎重:物事を注意深く、十分考えることができ、後悔するような言動はしない
    • 自己統制:自分を感じ、行為を調整し、感情をコントロールする

    ■超越性

    • 審美眼:自然や芸術、または数学的な美しい真価を認めることができる
    • 感謝:良い出来事に気をとめて、感謝ができる力。感謝を伝えられる
    • 希望:良いことが起こるのを信じて、努力を続けることができる
    • ユーモア:人や自分を楽しませ、笑ったり、楽しむことができる
    • スピリチュアリティ:人生の目的や宇宙の高次の目的に向かい、信念をもって進むことができる

    自分の「強み」を見つけること、そしてその「強み」を表現していくことです。

    ※無料で「強み」がチェックできるサイトです。海外のサイトですが、左上の「言語を選択」で日本語にすれば、日本語で受けることができます。 http://www.viacharacter.org/www

    3-7.心的外傷後成長PTG(Post Traumatic Growth)

    人はトラウマや傷ついた体験までも、それを通して成長するという考え方です。

    トラウマだけでなく、事故や怪我、また不治の病の告知、大切な人との死別、戦争体験や自然災害といったつらい体験をとおして、以下のような成長をしていくと考えられています。

    • これまでの人間関係を理解しなおす
    • あたりまえと思っていたこと、生きること、生きていることへの感謝の気持ちをもつ
    • より意味のある仕事や人生への価値観を見出す
    • さまざまなものへの存在や、より大きなシステム、霊性への意識が高まる
    • 自己への認識の強さ、そして人間としての強さをつちかう

    これらは決してつらい体験を正当化したり、ハッピーエンドということを押し付けているわけでもなく、上辺だけのポジティブシンキングではありません。

    その体験と向き合い、もがきや闘いによって生まれる真の成長を意味する考え方です。そして、この考えはすべてのポジティブ心理学で紹介されているわけではありません。

    ポジティブ心理学の核となった研究者たちがこの考え方を取り上げるのは、これまでの心理学の焦点であったネガティブな領域も、これまでと同様に大切に取り扱おうとする、人に対する想い、そして人の生きることへの尊重を感じます。

    4.【ポジティブ心理学の実践】仕事や日常に活用できる5つの方法

    ここでは私自身がNLPのスクール、また企業研修やコーチングの現場で、必要だと思われるときにクライアントにご紹介している、ポジティブ心理学の考え方を背景にしたやり方ですので参考にしてください。

    4-1.感謝の時間をつくる

    ポジティブ心理学の各書籍には、理論や背景、また実験内容などそれぞれに特化した書籍が多いのですが、方法として必ず取り上げられるのが、感謝に関することです。

    以下のようなやり方があります。

    • 寝る前にその日よかったことを3つから5つ書き出す。
    • なぜ、そのよかったことが起きたか、その理由も考えてみる。
    • 同様に感謝できることを毎日リストとして書き出す。
    • 感謝の手紙を誰かに書く。出さなくてもいいから書いてみる。
    • 家族やお世話になっている人に直接お礼を伝えにいく。

    書いていることをもう一度想像しながら体験していくことが大切で、こういったやり方は、ただいい状態を味わうだけではありません。嫌なことやつらいことを早い段階で回復させる効果があり、後の書籍でご紹介するショーン・エイカーは21日間続けていくことを推奨しています。

    私の方では、感謝したいこと、素敵だと思った誰かの行動やほめてあげたい自分の行動、また美しい青空の感動なども書き出すことをお勧めします。

    4-2.「強み」で人に貢献する

    3-6でご紹介した自分の強み(キャラクターストレングス)を見つけ、それを意図的に表現するというものです。そうすることで、自己肯定感や自己有能感が増してきます。

    人によって強みは異なりますが、先にご紹介した強み診断(http://www.viacharacter.org/www)等でも、自分では強みを見つけられないという方やピンとこない方には、周囲の誰かに直接聞いてみること、そして状況に応じては「勇気ある行動」と「誰かをサポートする」ことを提案しています。

    目的は勇気をもった行動や誰かへのサポートの実践を「意図的」に取り組むことで、3-2でご紹介した幸せの公式の一つである「意図的な行動」が促進でき、また人に貢献できているというポジティブ感情が手に入るからです。

    4-3.価値観に基づいて行動する

    これは私が専門としているNLPでもお伝えしていることです。

    あなたの仕事や家族、そして人生で大切なことを、自分も含めて大切な人たちと体験する時間は、説明するまでもなく、幸せで充実した気持ちを手に入れることができます。

    大切なポイントは、価値観を明確に特定すること。そして、「今私は、自分が大切にしたいことをやっているんだ」という自覚をもちながら取り組むことです。

    自分にとって大切な価値観はもちろん、余裕があれば家族や職場において意味や意義があること、また社会や世界に対して意味や意義があることなどに想いを巡らせることも、合わせて提案しています。

    4-4.「最高の自分」を想像して書き出す

    どんなポジティブな状態がほしいか、体験したいか、「最高の自分」を想像して書き出します。すでに目標を達成した状態、夢が叶ったり理想が実現している状態を「見て」「聞いて」「感じている」ことを書き出します。

    ポイントはその状態に集中(没頭)することです。没頭の秘訣は、以下の質問を参考にして五感情報をフルに活用することです。

    視覚情報: 何が見えているのか、誰が見えているのか、何が映っているのか?
    聴覚情報: 何が聞こえているのか、誰の声が聞こえているか、自分の中から出てくる言葉はどんなセリフか?
    触覚: 体はどんな感じがするのか、どんな感覚を体験しているのか?
    味覚・嗅覚: どんな味がしているのか。香りや匂いがしているのか?

    日記のごとく、毎日書き出していくことで、自分の可能性を感じ、価値あるゴールに向かって進めるようになります。

    これはトップアスリートだけでなく、ビジネスパーソンにも常識となってきたメンタルトレーニングやイメージトレーニングで活用されるように、脳に何度も体験させて、それができるのは当たり前という自己効力感やセルフイメージをつくることにもつながります。

    4-5.マインドフルネスの実践

    ご存知の通りマインドフルネスは、ポジティブ心理学だけでなく、その効果性は一般的に知られていて、心と脳の機能を活性化させます。
    ポイントは意識をただ、「今、ここ」に集中していくこと。

    マインドフルネスにはさまざまなやり方がありますが、統合すると、シンプルな以下のステップになります。

    1. 落ち着ける場所を選ぶ
    2. そこで目を閉じ、深呼吸を始める
    3. 雑念が浮かんだりしても、良し悪しの判断をせず、自分の呼吸に集中する
    4. 10分から15分(できれば20分)やる

    この他、ひたすら感謝できる出来事、そしてその状態に浸る「感謝の瞑想」。
    ポジティブ心理学ではよく一粒のレーズンが取り上げられますが、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をフルに活用して集中させる「食べる・味わう瞑想」、また「慈悲や慈愛の瞑想」などがあります。

    ただその状態に「浸り味わう」時間を推奨しています。

    これらはセイバーリングとよばれ、自分がどれだけ満たされた世界に生きているかを実感する重要性を説いた考え方です。

    ポイントは取り組む前に、自分のペースをしっかり落として始めることです。

    5.ポジティブ心理学おすすめTEDや本

    ここではよりポジティブ心理学を知りたい方のためのTEDと本のご紹介です。

    5-1.ポジティブ心理学に関するTED

    5-2.ポジティブ心理学に関するおすすめ本

    ■巻末に簡略版の強みテストが掲載されているマーティン・セリグマンの一冊

    ■ポジティブ心理学を語るうえで欠かせない骨太な一冊

    ■ポジティブ心理学を幅広くアカデミックに理解したい方へ

    ■ポジティブ心理学を具体的に日常に活かすやり方に言及した本

    ■主に仕事の成功に関するポジティブ心理学の本

    ■ポジティブ心理学をコーチングに応用した本

    ■ポジティブ心理学をカウンセリングに応用した本

    ※こちらの本は、うつでない方にもおすすめです。
    ある意味ポジティブ心理学を一番わかりやすく平易に述べられていますので、初心者にとっては一番おすすめできる本です。

    ■記事の参考文献(おすすめ本で紹介した本も含みます)

    • オプティミストはなぜ成功するのか マーティン・セリグマン パンローリング
    • 世界でひとつだけの幸せ―ポジティブ心理学が教えてくれる満ち足りた人生 マーティン・セリグマン アスペクト
    • 幸福だけが人生か?: ポジティブ心理学55の科学的省察 クリストファー・ピーターソン 春秋社
    • ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則 バーバラ・フレドリクソン 日本実業出版社
    • HAPPIER―幸福も成功も手にするシークレット・メソッド ハーバード大学人気No.1講義 タル・ベン・シャハ― 幸福の科学出版
    • 幸せがずっと続く12の行動習慣 ソニア・リュボミアスキー 日本実業出版社
    • フロー体験 喜びの現象学 ミハイ・チクセントミハイ 世界思想社
    • ポジティブ心理学を味わう: エンゲイジメントを高める25のアクティビティ J.J. フロウ A.C. パークス 北大路書房
    • 幸福の習慣 トム・ラス ジム・ハーター ディスカヴァー・トゥエンティワン
    • ポジティブ心理学入門 幸せを呼ぶ生き方 島井哲志 星和書店
    • 実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス 前野隆司 PHP新書
    • 「人勢塾」 ポジティブ心理学が人と組織を鍛える 金井 壽宏 小学館

     

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    6.まとめ

    人が持続的幸福を手にするための研究、それがポジティブ心理学です。

    PERMAをはじめ、ポジティブ心理学を支えるキーワードや考え方、そしてやり方をご紹介しました。ポジティブ心理学に関する記事を書くにあたって、多くの文献に触れ、本当にこれからの心理学であり、科学だという可能性を感じています。

    今後も、人の幸せや人生の満足度を高めるための研究が数多く展開されていくと思いますが、
    AI(人工知能)が進む中で、人の在り方がより問われる時代に入り、これからのポジティブ心理学の分野は、私たちの「生きる」を支える科学だと考えています。

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