やる気とは、
脳が生み出す感情の1つです。
脳は、五感を通して得た情報と、
これまでの経験・記憶や、
体のコンディションを総合的に判断して、
やる気を生み出しています。
そのため、どこかにマイナスの要因が大きいと、
やる気は出にくくなってしまいます。
マイナスの要因には、体の疲労や、
人間関係のストレスなどがあります。
そしてそれ以外に、ネガティブな体験のような、
もっと根深く影響している心理的な要因もあるのです。
そこでこの記事では、
- やる気が出る仕組み
- やる気がでない原因と対策
- 心理的なマイナス要因
これらについて、脳の仕組みと、
実践的な心理学をもとにご紹介していきます。
目次
1.やる気とは?
1-1.やる気の正体
やる気とは、「物事をやり遂げようとする積極的な気持ち(感情)」を意味しています。
やる気とよく似たものとしてモチベーションも挙げられますが、モチベーションは、「動機づけ。物事を行うための、動機や意欲になるもの。刺激。熱意。」を意味しています。
よって、やる気は気持ち(感情)で、モチベーションはやる気を起こすための要因と言えるでしょう。
【やる気とモチベーションの違い】
その他にも、似たような言葉があるので、辞典による意味を以下の表でまとめてご紹介しておきます。参考までにご覧ください。
言葉 | 意味 |
---|---|
やる気 | 物事をやり遂げようとする積極的な気持ち。 |
モチベーション | 動機づけ。物事を行うための、動機や意欲になるもの。刺激。熱意。 |
意欲 | 物事を積極的にしようとする意志・気持ち。 |
野心 | 密かに抱いている、未分不相応な大きな望み。 |
覇気 | 進んで事に当たろうとする意気込み。人に勝ってのし上がろうとする野望。野心。 |
士気 | 集団で事に臨む人々の意気込み・熱意。 |
(参照元)デイリーコンサイス国語辞典、スーパー大辞林3.0
では続けて、やる気が出る仕組みを見ていきましょう。
1-2.やる気が出る仕組み
やる気は気持ち(感情)ですので、脳の影響を強く受けています。
そして、脳は狩猟・採集生活をしていた頃から大きくは進化していないと言われ、「安全に生き延びること」を最優先に機能しています。
そのため、安全を脅かすようなこと、新しいことを前にすると、「やる気」という感情は出にくくなるのです。
①五感を通して得た体の外からの情報
②過去の記憶や経験、体調などの体の中の情報(シグナル)
これらを総合的に判断してやる気(感情)が作られています。
そして、ある物事を前にして脳が、ベネフィット(利益、報酬、恩恵)が得られると判断すると、その物事を行うために「やる気」が出やすくなります。
ですが、取り掛かる物事があまりに大変で労力がかかったり、危険だったりすると、取り掛かることで得られるベネフィットよりも、失うもの(ロス、損失)が大きいと判断されます。
そのため、行動を起こさないよう、脳は「やる気」という感情を出さなくしてしまうのです。
これを、狩猟・採集生活時代の「高い木の上の果物を取る」という行動に例えてみてみましょう。
例:高い木の上にある果物を取る
【やる気が出る場合】
五感で得た情報・ 体からのシグナルや記憶・経験 |
お腹が空いた 木から落ちて死ぬかもしれないが、果物を食べると生き延びられるかもしれない |
脳の判断 |
木に登って、果物を食べるベネフィットが大きい |
やる気 |
脳は「木に登る」行動を取るために |
【やる気が出ない場合】
五感で得た情報・ 体からのシグナルや記憶・経験 |
お腹が空いた 前に高い木から落ちて怪我したことがある |
脳の判断 |
木に登って、果物を食べることは損失が大きい |
やる気 |
脳は「木に登る」行動を取らない |
このようにして脳は、得た情報をまとめ、総合的に判断して、ベネフィットを得られるよう「やる気」を出しています。
そのため、環境や、自分の体調、過去の記憶や経験によって、「やる気」は出たり出なかったりしているのです。現代社会でいうと、以下の図のようになります。
この図のように、真ん中のプラス・マイナス0の状態よりも「プラスの要素」が大きい場合は、やる気は出やすくなり、下にある「マイナスの要素」が大きい場合は、やる気は出づらくなっているのです。
さてここからは、「やる気」のいくつかの種類について触れ、その後で、「やる気」が出ない原因と対策や、「やる気」を阻む心理的な原因と対策についても続けてご紹介していきます。
(参照元)
メンタル脳 | アンデシュ・ハンセン(著),マッツ・ヴェンブラード(著),久山葉子(翻訳)
1-3.やる気の種類
一言で「やる気」と言っても、やる気には種類があります。
また、24時間365日、やる気MAXというわけではありません。
1日の間でも、朝にやる気があり、午後すぎに少し落ち込み、夕方にまたアップする、そういった変化を起こしていることもあります。
これは、「やる気」が出る仕組みに、体の疲労や心理的な要因が関係することを考えれば、とても自然なことです。
また1年で考えると、年始はやる気があり、多忙を極めたまま5月に入り、いったんやる気が下がっていき、秋を迎え再びやる気が出て、年末に向かっていくというケースもあるかもしれません。
そして、大きくわけるなら、「やる気」の継続期間が比較的短い期間で終わる場合と、長い期間で継続する場合があるのではないでしょうか。
例えば、このようなものです。
<短い期間>
- 洗濯を行うやる気
- お弁当を作るやる気
- 課題に取り組むやる気
- 今日を乗り切るやる気
- 今週の仕事のやる気
<長い期間>
- 試験勉強のやる気
- 何かのプロジェクトのやる気
- 英語学習のやる気
- 今年の抱負へのやる気
- 3年後のビジョンへのやる気
このように、瞬発的にやる気を出せば何とかなりそうなことと、継続してやる気を持ち続けることが必要なことがあります。
では、やる気の正体や、基本的な仕組み、やる気の種類がわかったところで、やる気が出ない原因や対策について詳しく見ていきましょう。
2.やる気が出ない5つの原因と対策
ここからは、「やる気が出ない」状態を引き起こす、代表的な5つの原因と対策をご紹介してきます。
その5つとはこちらです。
- 疲れ切っている
- やりたくないことをやっている
- 周りにネガティブな人が多い
- 慢性的なストレスを感じている
- 運動不足
「やる気」は1章でご紹介の通り、損失が大きく、マイナスの要因が多いと、出にくくなります。
今は良い状態にある人でも、ふとしたことで、やる気が出ない状態に陥る可能性があると言えますので、1つずつ見ていきましょう。
2-1.疲労・体調不良
やる気が出ない原因として、「疲労・体調不良」が挙げられるでしょう。
マイナス要因 |
疲労感 |
普段、どんなに健康でやる気にあふれる人であっても、体調が万全でなければ、やる気が出にくくなります。
疲れ切っていたり、肩こり、腰痛、胃痛、腹痛、頭痛があると、総合的に体が疲れている状態となります。その結果、体の中からマイナスのシグナルが生まれ、やる気が出にくくなってしまいます。
例えば、頭痛1つとっても、大きな問題かもしれません。
なんと日本にはおよそ3,000万人の頭痛持ちの人がいて、人口の約25%に相当します。特に30代から50代と言われていますので、社会人であれば周囲の4人に1人以上の人が、頭痛持ちの可能性があるでしょう。
もちろん、疲れや慢性的な体調不良については、慣れや、不調との付き合い方を体得されている方も多いかもしれませんが、身体的な疲労や不調がたまっていれば、やる気が出なくても当然です。
そして、恐らく多くの人が、義務感や習慣である程度は体の無理が効くと思いますが、疲れが最大になったある時点で倒れるように眠ってしまったり、心を病んでしまうこともあります。
できれば早めに、疲労の回復と不調の改善に取り組み、体からのシグナルを安定させて、自然にやる気が出せると良いですね。
2-2.やりたくないことをやっている
やる気が出ない原因として、「やりたくないことをやっている」ことも大きいでしょう。
これは、ある物事を前にして、脳が過去の体験や記憶から、「楽しくない」「負担が大きい」などのマイナス要因を見つけて、やる気がでない状態が生まれると考えられます。
マイナス要因 |
つまらない |
とは言え人生の中には、生活のため、子どものため、夢の実現のためなど様々な理由で、「やりたくないこと」をやらなければならない時もあるかもしれません。
そんなとき、『やりたくないこと』の中に、ベネフィットを見つけられると、プラスの情報となって、やる気を生み出していけるでしょう。
例えば以下のように、「得られること」に焦点を当て、乗り切っていきましょう。
気の進まない仕事をやる
↓
【ベネフィット・得られること】
収入が得られる
安心して生活できる
苦手な勉強をする
↓
【ベネフィット・得られること】
スキルアップできる
新しいことにチャレンジできる
また、「やりたくないこと」にゲーム性を持たせて、「クリアする」ことを楽しめるようになると、それも【ベネフィット】となり得ます。
このようにして、「やりたくないこと」の中にある、【ベネフィット】に焦点を当てることで、脳の中にプラスの情報が増えていきます。その結果、やる気を感じられることでしょう。
2-3.周りにネガティブな人が多い
やる気が出ない原因として、「周りにネガティブな人が多い」ことも挙げられます。
朝から、暗い挨拶をされて、「あ゙~。かったるいな~」などと言っている人が近くにいて、あなたが【やる気で満ちあふれる状態でいる】ことは難しいでしょう。
マイナス要因 |
|
なぜなら人は、どうしても周りの人の影響を受けてしまうからです。
それは、ミラーニューロンという脳の神経細胞による働きですので、防ぐことができません。
身の回りにネガティブな人がいたり、職場の雰囲気がネガティブだったりすると、なかなか変えづらいのですが、環境からの影響は重大です。
また人間の脳は、狩猟・採取生活をしていた頃から、大きくは進化していないと言われていますので、生き延びるために危機(問題)に早く気づき、対策をすることが重要だと判断します。そのため、ネガティブな出来事(問題)に注目しやすい傾向があります。
もしも周りにネガティブな人が多ければ、ネガティブな部分ばかりを気にして、自分もいつの間にかネガティブな状態になってしまうのです。
ネガティブな環境に気づいたら、可能であれば、そこから離れることが役立ちます。
やる気が出ない原因が、家族であれば一人暮らしを、仕事であれば転職や部署異動を、恋人や友達であればうまく距離を置くことです。
そして、少し言いづらいことですが、もし、長年付き合っている友達がネガティブな人であれば、自分もネガティブな影響を受けている可能性が高いでしょう。この環境から抜け出るのは、大きな決断が必要です。
また、馴染みのないポジティブな人との付き合いは、慣れるまでは不快感を抱いたり、面倒に感じることが多くなるでしょう。ですが、そこを乗り越えることで、ネガティブな人との関係を清算していけるのです。
どこに身を置くのか?は重要ですので、環境を整えることができれば、体の外からの情報がプラスのものとなり、やる気を出す土台づくりに役立ちます。
2-4.慢性的なストレスを感じている
やる気が出ない原因として、「慢性的なストレスを感じている」可能性もあります。
慢性的なストレスが続くと、人は無気力な状態に陥ってしまうことが、実験等でも証明されているのです。
マイナス要因 |
|
「何をやっても解消できない」「このストレスは絶対に変えられない」などと、慢性的なストレスが続いていることで、本人の中では「私には改善できない。何をしても意味がない」という無気力な状態に思考が固まってしまいます。
慢性的なストレスの例として、人間関係の問題は大きく、特に以下のような人が身近にいると、無気力な状態になりやすいと考えられます。
- 子どもの頃からずっと、自分を認めてくれない親
- 自由な交友関係を否定したり、自分の行動を制限してくる恋人
- 暴力を振るうパートナー
- パワハラ上司、モラハラ先輩
- すぐにマウントを取ろうとする同僚
- 何かとケチを付けてくる友達
このような人が身近にいて、特に逃れることができないような状況にあると、多くの人が無気力な状態になってしまいます。
慢性的なストレスの根源を解消できれば、もちろん理想的です。
ですが、根源を解消できない場合は、ストレスの捉え方を変えることが解決の糸口になってくれます。
まずはストレスの捉え方を変えることについてご紹介しましょう。
スタンフォード大学心理学者のケリー・マクゴニガル氏は、死亡者数を8年に渡り追跡し、182,000人のアメリカ人が「ストレスからではなく」、「ストレスが体に悪いと信じていた事によって」死期を早めたと発表しました。
とは言え、突然「ストレスは体に悪くない」と捉えることは難しいでしょう。
そこで、「ストレスは必ずしも、体に悪いものではないかもしれない」と捉え、ストレス下において「何のベネフィットがあるだろうか?」と長期的視野で考えてみましょう。
次に運動での解消についても触れておきましょう。
実は、運動と神経科学研究の第一人者であるジェニファー・ハイズ氏によって、以下のことが明らかにされています。
定期的に運動すると、ストレス反応が和らぎ、心理的なストレス要因に反応しにくくなって、
一見、手に負えないような状況でも、楽観的な気分になりやすくなります。
ただし、激しい運動は、新たなストレス源となってしまう危険があります。
緩めの運動から始めることを心がけ、徐々にストレスと向き合ってマイナス要因を解消し、やる気を取り戻していきましょう。
(参照元)
- スタンフォードのストレスを力に変える教科書 | ケリー・マクゴニガル(著), 神崎 朗子(訳)
- うつは運動で消える―神経科学が解き明かした「心の不調」のリセット法 ジェニファー・ハイズ(著),鹿田 昌美(訳)
2-5.運動不足
やる気が出ない原因として、「運動不足」も重要なことと言えます。
実は、運動不足の状態だと脳が内面から得られる情報にマイナス要因が増えるため、やる気と運動は密接な関係があるのです。
マイナス要因 |
|
「運動不足だと太る」「健康になるためには、運動が必要だ」など、恐らく多くの方が運動不足は問題だと考えていらっしゃることでしょう。
しかし「やる気」にまで影響しているとは、考えていない方も多いのではないでしょうか。
実は、運動には「やる気」と関係がある、以下のような良い効果があります。
【運動すると、レジリエンスが高まる】
回復力である、レジリエンス因子(神経ペプチドY=NPY)は、運動で増やすことができます。
結果的に、ダメージを受けたり、怖ろしい体験をしても不安を感じにくくなり、回復しやすくなります。
【運動すると、脳の栄養が増える】
運動直後の脳は、脳の栄養と言われるBDNF(脳由来神経栄養因子)で満たされます。
BDNFは、神経細胞の動きを活発化させることが期待されており、ストレスの悪影響から保護してくれます。
これらの効果があるので、日常的に運動をしていたり、体をよく動かす仕事をしている方は、結果的に脳を良い状態に保てているので、やる気が出やすくなります。
一方、一日中座りっぱなしの仕事で、あまり運動もしないような生活スタイルの場合は、脳が良い状態に保たれないので、やる気が出にくくなっている可能性があるのです。
もしデスクワークが中心の方で、仕事中にやる気が出ないと感じるときは、運動休憩が有効とされています。
運動と神経科学の研究者であるハイズ氏によると、5分程度の短い運動休憩は、
- 休憩なし
- 座りっぱなしの休憩
よりも仕事の能率が上がるそうです。
これは、酸素を多く含んだ血液が、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)へ多く流れ込むからです。
前頭前野は、記憶・感情・行動の制御など、精神活動を司る場所です。
脳を健康に保つためには、前頭前野を常に刺激し、活性化させることが大切と言われています。
どうしてもやる気が出ないようであれば、とにかく5分ほどでも席を立って、歩いたり、肩や腕を回すなどの軽い運動をしてみることが、やる気を出すことに役立つのです。
やる気が出ない原因について、根本からのアプローチも掲載した、こちらの詳しい記事をご覧ください。
→ やる気が出ないのはなぜ?原因を根本から解消する心理アプローチ
(参照元)
3.心理面に潜む「やる気」が出ない3つのマイナス要因
やる気を出す方法は、多くのサイトやSNSなどでも紹介されています。
あなたもこれまで、「やる気」を出すために、「ご褒美を用意する」「作業興奮を利用する」「5秒数えてすぐ行動する」など、さまざまな方法に、既に取り組まれていらっしゃるかもしれません。
それらを試しても、やっぱりやる気が出ないのであれば、そこにはもっと心理面に関わる要因がある可能性があります。
心(内面)の奥深くに、大きなマイナス要因を抱えたままでいると、どんなにやる気を出そうとしても、そのマイナス要因が足かせとなってしまうのです。
そこで、自分の内面にあるマイナス要因(経験・体験・記憶など)が影響しているケースについて、実践心理学NLPを元にご紹介していきます。
ここでは、以下の3つの要因に焦点を当てていきましょう。
- ネガティブな思い込みがある
- 自己効力感が低い
- 何をやりたいのかわからない
なお実践心理学NLPは、セラピーをもとに発展した心理学です。
そのため、マイナスな状態を乗り越え、より良く生きていくための学びも得られる心理学です。
では早速、心理的なマイナス要因についてシンプルにご紹介していきます。
3-1.ネガティブな思い込みがある
やる気が出ない心理的なマイナス要因の1つは、「ネガティブな思い込みがある」ことです。
これは、脳がやる気を出すか否かを決める際の、過去の経験による判断材料の1つとなります。
ネガティブな思い込みとは、思考や行動を止めるブレーキや足かせのようなものです。
例えば、「プレゼンとなると、やる気がでない」というAさんのケースでみていきます。
何をやってもプレゼンへの苦手意識が消えず、やる気が出ないAさんの過去を振り返ると、「中学生の頃に手を上げて発表したら、間違って皆に笑われて、恥ずかしい思いをした」という記憶がありました。
中学生の多感な時期に刻まれた「恥ずかしい」という記憶が、その後もずっと大きなマイナスとして記憶に残ってしまっていたのです。
結果的に、「皆の前で発表すると、恥ずかしい思いをする」というのが、マイナスの強い思い込みとなって、ブレーキをかけているのです。
プレゼンが苦手、という方の中には、「最初のプレゼンで失敗した」「プレゼンの途中で頭が真っ白になってしまった」などの経験があって、ネガティブな思い込みを持っている方は少なくありません。
大人になるにつれ、あるいは月日が経って記憶は薄れていっても、ネガティブな思い込みは残ってしまいます。
これが、やる気を生み出すときの判断材料として、マイナスに働きつづけるのです。
実践心理学NLPでは、ネガティブな思い込みのことをビリーフと読んでいます。
ビリーフは、信念や思い込みを意味しているので、ネガティブなことばかりではありませんが、ネガティブなビリーフがある場合は、その原因を捉え直し、ポジティブなビリーフに書き換えていくスキルも存在しています。
まずは、自分の足かせになっている「ネガティブなビリーフ(思い込み)」があることに気づくことが第一歩です。
3-2.自己効力感が低い
やる気が出ない心理的なマイナス要因として、「自己効力感が低い」ことも挙げられます。
自己効力感とは、何か困難にあっても「自分なら対処できる」と思える感覚のことです。この感覚の高い・低いが、特に行動を起こす際には重要な要素となっています。
「自己効力感が低い」と、ベネフィットを前にしても、「きっとできない」という強い心理が影響し、マイナス要因となって、やる気は出なくなってしまうのです。
特に、「やりたいのに、なぜか、やる気がでない」という場合は、自分の深層心理にある自己効力感の低さが原因となっているかもしれません。
以下のようなことが思い当たる方は、その可能性があります。
- 「できないかもしれない」と思うことが多い
- 「自分には無理だ」と思いやすい
- 「問題点」など、無意識にマイナス要素に注目しやすい
自己効力感が低いと、物事を前にした際に心理的なマイナス要因となるため、やる気が出にくくなります。
そして自己効力感は、成長過程の様々な要素で高くなったり、低くなったりしていきます。中でも、幼少期の以下のような経験に、大きな影響を受けていることがあります。
- 自転車に乗ることや跳び箱など、できるようになるのが近所の子より遅かった
- 親から「うちはみんな運動音痴だから、あなたも似ちゃってごめんね」などと言われていた
- 親や先生から、できないことをよく指摘されていた
もし、褒められたり認められたことより、上記のようなマイナスの経験が多いと、当然のように「私には、きっとできない」と思いやすくなるでしょう。
そして、幼少期のことは記憶にはっきりと残っていなくても、無意識には深く刻まれており、知らず知らずのうちに悪影響を受けているのです。
この「私にはきっとできない」という、自分に対して抱いているイメージのことを、実践心理学NLPでは「セルフイメージ」と言います。
実践心理学NLPの視点では、セルフイメージは人生を左右するほど重要なものです。そしてNLPには、セルフイメージをアップデートする方法も豊富にあります。
もし、なぜかやる気が出なくて困っているような場合、「自分が自分をどう捉えているのか?」ということに気づくことから始めてみましょう。
3-3.何をやりたいのかわからない
やる気が出ない心理的なマイナス要因の3つ目は、「何をやりたいのかわからない」ことです。これがあると、漠然としたやる気の無さが長く続いてしまうでしょう。
これは、脳がやる気を出すかどうかを判断する際に必要なプラスの情報である、「明確な目標」がわからない状態を引き起こすからです。
そして、もしかすると以下のような疑問を抱くことがあるかもしれません。
- 本当にやりたいことはなんだろうか
- 何のために働いているのだろうか
- 無意味なことをしているのではないか
- 自分の人生はこれでよいのだろうか
- 自分は何にやる気が出るのだろうか
このような疑問を抱くときは、「自分が何を大切にしているのか(自分の価値観)」を見失っている可能性があります。それは、自分とのコミュニケーションが取れていないとも言えるでしょう。
恐らく多くの人が、学校で勉強し社会に出る中で、「自分が好きなことを第一優先にできない」場面を経験されてきたことと思います。
例えば、好きなことを我慢して受験勉強をし、大学に入ったら試験やアルバイト、就職活動、社会人になれば仕事に追われていきます。
気づいたら「自分が何をやりたいのかわからない」という事態になっているかもしれません。
そこで取り組みたいのが、「自分とのコミュニケーション」です。具体的には、自分が大切にしていること(価値観)を明確にすることです。
この取り組みによって、根源的なやりたいことを見つけることにもつながっています。
自分は何を大切にしているのか、何に価値を見出しているのか?を明確にすると、「本当にやりたいこと(=価値観を尊重すること)」が分かってくることと思います。
そして、自分の価値観を満たしながら人生を送ることは、満足を感じながら生きることにつながっていき、それは、ブレることのない長期的なやる気になるでしょう。
自分の価値観を知っておくことで、継続して「やる気を出せる自分」でいられるのです。
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4.どうしてもやる気がでない場合は...
ここまで、「やる気」が出ない原因と対策などをご紹介してきましたが、試しても「まったくやる気が出ない」場合や、
そもそも、「何も試す気になれない」ほどマイナスの状態が続くようでしたら、一度、専門的なアプローチを受けてみる必要があるでしょう。
それは、かかりつけの内科であったり、地域の相談センターなどかもしれません。
または、カウンセリングやセラピーなどが合う場合もあると思います。
選択肢はたくさんありますので、ご自身のマイナスがどの程度なのかによって、適切な手段を選び、まずはニュートラルな状態を目指して行ってみてはいかがでしょうか。
人生は長いので、「やる気」が出ない時期もあると思います。
それらを乗り越えていくことで、より良い状態で過ごしていけることでしょう。
まとめ
ここまで、以下についてご紹介しました。
- やる気の正体
- やる気が出る仕組み
- やる気が出ない原因と対策
- やる気がでない心理的なマイナス要因
- どうしてもやる気が出ないときのご提案
「やる気」は自分の気持ちですので、自己探求や運動など、自分の働きかけ次第でやる気を出していくことができます。
これらの情報があなたの生活から人生全般まで、お役に立てば幸いです。