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2024.05.23 NLP世界権威

宇宙に吸い出されてしまうと信じている患者

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NLPの創始者の1人である
ロバート・ディルツ氏が話されていた、

心理療法家ミルトン・エリクソン
エピソードトークをお伝えします。

こちらの内容はロバート・ディルツ氏が、
日本で初めてスライト・オブ・マウス
(リフレーミングの14のパターン)
について講義された時、

その実例として話して下さった内容であり、
私がとても印象に残った好きなお話です。

宇宙に吸い出されてしまうと信じている患者

世界的な天才心理療法家ミルトン・エリクソンの元には、拒食症や恐怖症など、様々な悩みを持つ人が彼を頼って訪れました。

特に今回ご紹介するケースは、なかなか日常では出会わない悩みを持っている人のお話なので、驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな患者さんのお話です。

その患者さんは「自分は宇宙に吸い出されてしまう」ということを強く信じていました。

彼は外にも行かず、家にいるときも重い家具などにしがみつくような状態で暮らしていました。

彼の話に異論を唱えようものなら激怒し、

「お前は頭がおかしいんじゃないか。私は宇宙に吸い込まれてしまうという、そんな事実もわからないのか」と、逆に攻撃してくるような人でした。

一般的なセラピストや能力の高い人でなければ、どう対処していいかわからず戸惑ってしまったり、

「そんなことはないはずだ」と相手を否定してしまってもおかしくない状況ですが、エリクソンは言いました。

「あなたが宇宙に出ていくことはあなたの運命なんですね。」と。

そうすると彼は目を見開いて「そうです、そうなんです。どうしたらいいでしょうか。」と相談し始めます。

心理学NLPの中には「相手の世界観を尊重」するという考え方があり、まずは相手が言っていることを否定せずに、相手に寄り添っていくという模範を、まさにエリクソンは行ったのです。

そして、エリクソンは言います。

「宇宙に出ていくことがあなたの運命であるのであれば、あらがうことはできません。そう思いませんかか?」

そう言うと彼は、戸惑いながらも「はい、そう思います。」と答えます。

「では、その運命からは逃れらないとしても、宇宙に吸い込まれた後に生きていられるように準備をしていくことはできますよね。」と言うと彼はハッとします。

続けてエリクソンは「例えば、飲み物や食料、寒さをしのげるような防寒服を用意するとか...。」と伝えると彼は大きく頷きました。

そして、エリクソンは彼に課題を与えます。

「毎晩夜になったら、近くにある山の頂上まで登り、温かい服を着て、食料もちゃんと持って、いつ宇宙に吸い込まれていいように準備して山の頂上で待っていなさい。」と。

彼は「そうします。直ぐに必要なものを準備していきます。」と帰っていき、昼間は何かにしがみつき、夜は山頂へ登るという課題を数週間もの間、続けました。

みなさんにも想像して頂ければと思うのですが、何週間もの間、毎晩毎晩山の頂上まで登って、いつ吸い込まれてもいいように準備するという生活が続くことで、どんな他の可能性が生まれてくるでしょうか。

この患者さんは毎晩毎晩山頂に登っていたので、疲れてしまって「そろそろ家に帰ってもいいでしょうか。姉の顔が見たいんです。」と言い出しました。

その後、彼は精神的に徐々に落ち着いていき、仕事もちゃんとできるようになり、結婚もしました。

というエピソードです。

いかがだったでしょうか。

ミルトン・エリクソンは相手を否定することなくその世界観を尊重し(この場合は自分は宇宙に吸い出されるという思い込み)相手の立場に立ち、その思い込みをうまく活用することでクライアントを治療したのです。

私の中で治療というと、もっと専門的な素人では理解できない難しいことを行っているという印象がありましたが、「このようなユニークと感じる治療方法を沢山行っていた。」とロバート氏はお話して下さいました。

このエピソードから私たちが学べることは、ミルトン・エリクソンのように患者に限った話ではなく、顧客や友人、家族といった身近な人に対しても、

話す内容にたとえ違和感を感じたとしても、まずは相手の世界観を尊重することからコミュニケーションは始まるということです。

私達がコミュニケーションでうまくいかない時、まさにこの視点が抜けてしまっていることが多く、頭ごなしに相手を否定することをやってしまいがちです。

私自身、前職では塾の講師を行っていましたが、このようなことを学んだ後からは、いつも宿題をやってこない生徒、いつも遅刻する生徒に対し、まずは生徒の話を聞くようにしました。

そして相手の立場に立ち、生徒が感じている感情に寄り添い「大変だったね」等の言葉にすることで違った反応が生まれました。

そして、このような対応を続けることで宿題をやってくるようになったり、塾に早く来るようになりました。

まさに「相手の世界観に立つ」という視点や考え方を身に着けることで「自分のことをわかってくれる」と相手から信頼され、

その結果、こちらの言葉にも耳を傾けてくれるようになるのです。

このような相手の世界観を尊重し、相手の思い込みを変化させ、行動まで変えてしまう14パターンのリフレーミングスキルが学べるトレーニングを、

ロバート・ディルツ氏はNLPのセミナー内で分かりやすく行ってくれました。

NLP-JAPANラーニング・センター

NLPトレーナー 後藤昭雄

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