「メラビアンの法則」とは、
表情や声などと矛盾した言葉が発せられたときの
相手の受け止め方を調べる実験により提示された法則です。
これにより、コミュニケーションにおいて重要な要素が判明しました。
もしあなたが、ビジネスやプライベートにおいて
- 「伝えたい事が相手にうまく伝わらない」
- 「第一印象で怖がられる」
- 「思っているように評価がされない」
- 「なぜかよく誤解されてしまう」
などの気持ちを感じたことがあるようでしたら、
メラビアンの法則を知ることは重要です。
このような状況は、
たった少し意識するだけで改善され、
伝える力が格段に伸びるからです。
本記事はあなたに知ってほしい
正しい「メラビアンの法則」とはなにか、
実際にどのように活用することができるのかをご紹介していきます。
目次
1.メラビアンの法則とは
「メラビアンの法則」とは表情や声などと矛盾した言葉が発せられたときの、相手の受け止め方を調べ、非言語情報の重要性を示した法則です。
具体的にはアメリカのカリフォルニア大学の心理学名誉教授であったアルバート・メラビアンが、 1971年に自身の著書「Silent messages(非言語コミュニケーション)」によって提唱したもので、 別名「7-38-55のルール(3Vの法則)」とも呼ばれています。
〈実験の概要〉
視覚(表情・しぐさ)、聴覚(話し方)、言語(話の内容)で矛盾した情報を与えられたときに、
人はどれを優先して受けとめ、話し手の感情や態度を判断するかを実験しました。
〈実験のステップ〉
- 「好意」「嫌悪」「中立」をイメージさせる顔写真を用意する。
- 「君は全く悪くないよ」という「好意」的な言葉を「好意」「嫌悪」「中立」の3つのイメージでそれぞれを録音する。
- 録音と写真をさまざまに矛盾した組み合わせをつくって被験者に示し、それぞれを最終的に「好意」「嫌悪」「中立」のうちのどの印象を持ったかを質問する。
※「怒った顔の写真」を見せながら、「中立的なイメージの音声」で「君は全く悪くないよ」という好意的なメッセージの時、受け手側が、話し手側の感情を「好意」と判断したら、「言葉」のインパクトが強いと判断される。
〈実験結果〉
この実験で、矛盾した組み合わせでメッセージを伝えた際、以下の結果でした。
表情など見た目や仕草による
「視覚情報(Visual)」が人に与える影響:55%
声のトーンや大きさ・話すスピードなどの
「聴覚情報(Vocal)」が人に与える影響:38%
会話そのものの内容である
「言語情報(Verbal)」が人に与える影響:7%
つまり、どんなに「好意的な言葉」を伝えていても、その言語情報と矛盾して、表情や声が「嫌悪」になってしまうと聞き手はネガティブな印象を受けてしまう場合が多いことがわかりました。
気持ちを表情や声で表現するのが苦手な方は、本当に伝えたいメッセージが、相手に正しく伝わっていない可能性がありますので、注意が必要です。
友好的にコミュニケーションをとっているつもりでも、相手からはマイナスのイメージを持たれてしまっていたら嫌ですよね。
では、反対にメラビアンの法則を活用することができれば、どのような成果があるのかについては次章でお伝えいたします。
2.メラビアンの法則を活用してコミュニケーション上手に!
2-1.メラビアンの法則を活用するポイント
メラビアンの法則を実生活で活用するポイントは、この2つです。
- 非言語情報と言語情報に、一貫性を持ってメッセージを伝えること。
- 非言語情報を言語情報と、より一層合うように工夫すること。
非言語情報と言語情報に一貫性があれば、伝えたいことが正しく伝わるでしょう。
そして、非言語情報を言語情報とより合わせてコミュニケーションを取ることで、このようなことも期待できます。
- 話を始める前から相手に好印象を与えることができる
- 自分の伝えたいことを相手により伝わりやすくなる
- 信頼関係を築きやすくなる
それでは、メラビアンの法則を実生活で活用し、様々な状況でどのようにすればいいのかをお伝えします。
◆初対面の人とのコミュニケーション | |
---|---|
〈視覚情報〉 | ・清潔感を感じさせる ・姿勢をよくする ・笑顔を意識する ・うなずくなどのリアクションをする ・目を見て話す |
〈聴覚情報〉 | ・はきはきと相手に伝わりやすく話す ・声は大きすぎず小さすぎない聞きやすさ |
〈言語情報〉 | ・流行ネタなど相手のわかる話をする ・自慢話など自分の話ばかりしない |
◆プレゼンテーション | |
---|---|
〈視覚情報〉 | ・スーツを着こなすと説得力UP ・前髪が目にかからないようにする ・笑顔で余裕を見せる ・胸を張って姿勢をよくする |
〈聴覚情報〉 | ・ゆっくりハキハキと話す ・抑揚をつける ・間を大事にする |
〈言語情報〉 | ・言いたいことより伝わりやすさを意識する ・PREP方式(結論→理由→具体例→結論)で話をする |
2-2.ビジネスにおけるメラビアンの法則の活用法
メラビアンの法則はビジネスで活用することでも大きな成果を得ることができます。
この章ではビジネスシーンごとに意識するポイントをご紹介いたします。
◆オンラインの会議(商談)
オンラインの会議(商談)の時は非言語情報を通常より大きく行うことがポイントです。
対面で行う時に比べ、オンラインでは非言語のコミュニケーションが伝わりにくくなってしまいます。
画面の中に映っている部分の情報しか伝わらないためです。
対面の時より伝えられる非言語情報は少なくなるので、声のトーンや表情にはより一層注意を払いましょう。
◆同僚や部下とのコミュニケーション
部下や同僚とコミュニケーションを取る際に相手に向き合って話をすることも、非言語の情報としてとても重要です。
例えば、あなたが相手に話しかけた時、受け答えはしてもらえても、パソコンの画面を見たままの状態で目を合わせなかった場合、しっかりと話を聞いてもらえてるのか、不安になりますよね。
このケースは、職場でのコミュニケーションでよく起こりうる状況の一つです。
「話を聞いている」と相手に感じてもらえるよう、体の向きと視線を相手に向けることを心がけることが大切です。
2-3.恋愛におけるメラビアンの法則の活用法
近年では、マッチングアプリが普及し、「デートが初対面」という機会が増えている傾向があります。この場面でメラビアンの法則は非常に役立ちます。
マッチングアプリの場合、相手がどんな人なのか詳しくわからないまま対面で会う、というケースが多いため、お互いに不安がとても大きい、という側面があると言えます。
下記のようにメラビアンの法則を活用することで、相手と距離を縮めたり、信頼関係を築くことをスムーズにすることができます。
具体的には下記のように活用できます。
◆服装
初対面の場合で相手の好みを把握できていないならば、無難な服装を選ぶといいでしょう。
相手の好みが事前にわかっていて、自分の服装の系統と相手の好みと合うならば、問題はないのですが、相手の情報を詳しく持っていない中で勝負に出るのはリスクが大きいと言えます。
まずは綺麗系コーデや大人カジュアルなど、爽やかな印象を与えられる服装を意識しましょう。
そして髪型なども乱れがないようにしっかり整えてからデートに臨みましょう。
◆デートの最中のポイント
デート中は以下のことに注意をしてください。
- しっかりと相手の目を見て話す
- 表情を豊かにするよう心がける
- 声のトーンを少し上げる
- 頷きや相槌などのリアクションをとる
目を見て話すのはとても大事なことです。
非言語な情報で「あなたに向かって話しています」ということを伝えるので、必ず相手の目を見て話をしましょう。
また、話している内容がどんなに素敵なことであっても、表情の変化や声のトーンが低いと淡々と聞こえてしまい、話の素晴らしさが伝わりにくくなってしまいます。
そして、相手が話してくれているときにはしっかりと頷いたり相槌を打つなどリアクションをしましょう。
これらを怠ってしまうと「私の話をしっかり聞いてくれているのかな、もしかしたら面白くないと感じられているかも」と、不安を感じさせてしまいます。
少しオーバーなリアクションをする方が相手にも伝わりやすいので、恥ずかしがらずに挑戦してみてください。
いくつかご紹介をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
この中のものを実践していくことで、周りからのあなたの見え方はきっと変わっていくことでしょう。
ここまで読まれ、
『もっと伝えたいことを、思う通りに伝えられるようになりたい』
『もっと効果的に伝えて、影響力をもちたい』
といった考えを抱いている方もいらっしゃるでしょう。
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3.危険な落とし穴
メラビアンの法則は誤った解釈で認知されていることも多いです。
「メラビアンの法則」では、視覚情報と聴覚情報を合わせると93%を占めるため、非常に重要とされています。
そのため、メラビアンの法則を学んだ方の中には見た目の印象や話し方にさえ気をつければ、7%しかない言語情報は重要視する必要がないと思われる方もいることでしょう。
しかし、これこそが「メラビアンの法則」の落とし穴なのです。
「メラビアンの法則」の実験下で言語情報が優先をされなかったのは、視覚・聴覚・言語で〈矛盾した情報〉を伝えた時という状況の下で行われたためです。
そのため「非言語コミュニケーションさえ気をつければ、相手に良い印象を与えられる」と考えるのは、非常に危険で誤った解釈となります。
メラビアンの法則を実践する上で、大切なのは「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」が一致していることです。
この2つが矛盾をした情報を伝えてしまうと、相手に誤解を与えてしまったり、困惑させてしまう可能性があるからです。
「言語コミュニケーション」と「非言語コミュニケーション」を一致させることで、相手により伝わりやすいコミュニケーションを取ることができるようになります。
まとめ
メラビアンの法則とは、話し手が言語情報・視覚情報・聴覚情報の3つのカテゴリで、矛盾した情報を与えられた際に聞き手がどの情報からの影響を最も受けるのかを調べたものです。
視覚情報55%、聴覚情報38%、言語情報7%という割合で相手に影響を与えます。
ただし、割合の少ない言語情報が大切ではないというわけではなく、相手に何かを伝える際にはそれら3つのバランスが大切なのです。
相手にしっかりと伝わりやすくすることで、信頼を得ていき、コミュニケーションの質を向上させていきましょう。
そうすることで結果的にあなたが周りに与える影響力を高めていくことが可能となります。
そしてコミュニケーションの手法と言葉の使い方を知っているのは、あなたの一生使える武器となっていくでしょう。