成長マインドセットを持っていると、
自分の才能を磨くために努力を惜しまず、
何事にもチャレンジしていくことができます。
そして、たとえ困難な状況に陥っても、
どうやったら解決できるのかという部分に
目を向け、前向きに取り組んでいきます。
今のような変化の激しい時代には、
人生を切り拓いていくうえで
成長マインドセットは
欠かせないものと言えそうです。
そこでこの記事では、
成長マインドセットとは何か?という
基本の部分から、
成長マインドセットの身につけ方まで、
詳しく解説していきます。
目次
1.成長マインドセットと固定マインドセット
1-1.成長マインドセットとは?
成長マインドセットとは、「人間の能力は、学習したり、経験することによって伸ばすことができるものだ」と信じる考え方、心の持ち方のことです。
しなやかマインドセット(Growth Mindset)とも呼ばれています。
自分の能力を向上させることに関心を向けていて、持って生まれた才能を磨くための学びや経験、努力を大切にしています。
新しい問題や、難問にぶつかっても、自分の能力を高める機会だと捉えるため、常に前向きで意欲的です。
成長マインドセットを持つ人の特徴 |
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1-2.固定マインドセットとは?
成長マインドセットとは反対の考え方が、固定マインドセットです。
「人間の能力は、固定的で変わることがない」と信じている状態で、硬直マインドセット(Fixed Mindset)とも呼ばれています。
あらゆる場面で自分は他人より優れているということ、自分の有能さを証明しようとし続けますが、努力をすることはできません。
なぜなら、努力をして自分の才能を伸ばすというのは、今の自分に欠点があると認めることに繋がるからです。
そのため、持っている才能や可能性を発揮できないまま、早い段階で成長が止まってしまう傾向があります。
固定マインドセットを持つ人の特徴 |
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1-3.2つのマインドセットの違い
人生で課題となるテーマについては、それぞれ次のように考えます。
3章であなたのマインドセットが、成長マインドセット・固定マインドセットのどちらに当てはまるかをチェックしていきますが、
以下の内容についても、自分はどちらに当てはまりそうか、考えながらご覧ください。
人生の テーマ |
成長マインド セット |
固定マインド セット |
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失敗 | 成長できないこと | 少しでもつまづくこと |
挑戦 | 新しいことにチャレンジしたい | できればチャレンジしたくない |
障害 | 壁にぶつかっても耐える | 壁にぶつかったらすぐに諦める |
努力 | 努力は何かを得るために欠かせない | 努力なんてまっぴらごめんだ |
批判 | 批判から真摯に学ぶ | ネガティブな意見は無視する |
他人の 成功 |
他人の成功から、学びや気づきを得る | 他人の成功を脅威に感じる |
なお、これら2つのマインドセットは、スタンフォード大学の心理学教授である、キャロル・S・ドゥエックが提唱した考え方です。
著書『マインドセット「やればできる!」の研究』でも詳しく解説されており、本書は世界250万人が読んだベストセラーです。
2.成長マインドセットの重要性
マインドセットはできごとに対する考え方や判断、そして次に取る行動に影響を及ぼしますから、どちらのマインドセットを持っているかによって、人生の様々な場面で手にする結果が変わります。
ここでは3つの場面において、成長マインドセット・固定マインドセットがそれぞれどのように考えるのかを紹介しながら、成長マインドセットを持つことの重要性を解説していきます。
2-1.仕事・ビジネスでの成長マインドセット
成長マインドセットを持っていると、ミスや失敗をしても、そこから学びを得て成長に繋げることができます。
上司や同僚は、自分の成長を助けてくれる存在だと考えており、組織運営に欠かせない協調的な動き方や、円滑なコミュニケーションも生まれやすいです。
一方で固定マインドセットを持つ人は、ミスや失敗があると、それを隠蔽しようとしたり、保身に走ります。
上司や同僚からは、常に評価されていると感じているので、ミスや失敗を避けようと、そもそも行動や挑戦をしなくなる傾向があります。
また、上司が固定マインドセットを持っている場合では、自分の立場・権力を守るために、部下の成長を妨げるような存在になっていきます。
仕事やビジネスでは常に挑戦し、変化していくことが求められますから、成長マインドセットを持つメンバーが多い組織のほうが、発展しやすいといえます。
2-2.人間関係での成長マインドセット
もし相手に心無い言葉を言われたり、そっけない態度をとられても、
成長マインドセットでは、マイナスな経験も学びの機会と捉え、その後の人間関係に役立てていきます。
また、自分を高めてくれるような人との付き合いを求め、フィードバックを受けることにも積極的です。
一方で、固定マインドセットの場合、自分が傷つくような経験をしたときには、相手を恨んだり、復讐しようと考えたりします。
そしてフィードバックを受けるということは、自分の欠点を指摘されることだと考えるので、
受け入れることができず、フィードバックを受ける機会そのものを減らすように動いていきます。
こうした考え方から、固定マインドセットを持っていると相手との溝をさらに深めてしまい、人間関係が困難になっていく傾向があります。
2-3.教育での成長マインドセット
成長マインドセットを持つ人は、自分の能力を高めることに関心を向けていて、成長できないことが失敗だと考えます。
一方で、固定マインドセットの場合、自分の有能さを示すことが大切で、小さなつまづき1つでも、自分はダメな存在だと捉え、行動することをやめてしまいます。
また人を教育する立場の人に押さえておいて欲しいポイントとして、能力を褒めると成長が止まってしまい、固定マインドセットに繋がる可能性があるという点です。
これは、部下や後輩の育成にも、子育てについても同じことが言えます。
「あなたは頭が良い」と言ってしまうと、言われた相手は、自分を賢く見せようとする行動が増えてしまうもの。褒めているつもりが、実はチャレンジ精神を奪ってしまうのです。
相手を成長させたいなら能力ではなく、努力・過程にフォーカスして認めたり、褒めたりすることが大切です。
そして相手の能力は、必ず伸びると信じて、どうやったら悪い部分を改善できるかを伝える建設的なフィードバックを行うようにします。
3.あなたのマインドセットはどちら?
ここで、あなたが「人間的な資質」というテーマについて、どちらのマインドセットを持っているかを確認してみましょう。
次の文章を読んでどの考え方に近いか、確認してみてください。
<人間的な資質>
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1:どのような人間かはすでに決まっており、それを根本的に変える方法はあまりない。
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2:現在どのような人間であっても、変えようと思えばかなり変えることができる。
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3:ものごとのやり方は変えることができても、人となりを本当に変えることはできない。
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4:どのような人間かという基本的特性は、変えようと思えば変えることができる。
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※引用:『マインドセット「やればできる!」の研究』より
1・3は固定マインドセットの考え方であり、2・4は成長マインドセットの考え方です。
そして上記の内容を
「知能」「芸術的才能」「運動能力」「ビジネススキル」など、様々な分野に置き換えて考えてみると、
あなたがどの分野でどちらのマインドセットを持っているかがわかります。
ある分野では成長マインドセットを持っていて、他の分野では固定マインドセットを持っている、ということもよくあります。
3-1.マインドセットは変えられる
マインドセットは、過去の体験・経験から作り上げてきたものです。
生まれつきの性格などの影響が全く無いわけではありませんが、基本的には後天的に身に着けていますので、何歳からでも成長マインドセットを身につけることが可能です。
ただし、残念ながら即効性のある方法はありません。
生まれてから今の年齢になるまで、無意識に作り上げてきたものですから、小手先のテクニックで変えられるようなものでは無いのです。
次の章で成長マインドセットを身につけるための方法をご紹介しますが、成長マインドセットが身につくまで、何度も繰り返していく必要があります。
脳は、筋肉と同じように、使えば使うほど性能がアップします。
新しいことを学んだり経験したりすると、繋がっていなかった回路が繋がって、能力はどんどん伸びていくものです。
あなたやあなたの周りにいる方が成長マインドセットを身に着けようとする場合には、ぜひその過程を楽しみ、成長しよう努力していることを褒めてください。
4.成長マインドセットを身につける方法
では、具体的にどうやったら成長マインドセットを身に着けられるのでしょうか。
今回は3つの方法をご紹介していきます。
これらの方法は、基本的なものですので、あなたが成長マインドセットを身に着ける時にも、
部下や後輩、子どもなど、あなたの周りにいらっしゃる方に身につけてもらいたいと考えている時にもお使いいただけます。
4-1.目標やゴールを決めて、とにかく挑戦する
まずは、こうなりたい・こうありたいという理想の姿を、明確にしていきます。
理想の姿・ゴールが明確でないと、どこにむかっていくべきか迷ってしまいますし、モチベーションも上がりません。
また、理想の姿の実現には、努力や学びが欠かせません。ですから、自然と成長マインドセットの考え方に取り組めるようになります。
そして、最初は結果よりも、どれだけ行動できたか、挑戦したかという点にフォーカスします。実際に行動した数、挑戦した数を数えてみるのもおすすめです。
成功や失敗は、そもそも行動・挑戦しなければ生まれません。
また、成功も失敗も、行動のひとつの結果でしかなく、
あなたの存在や人格の良し悪しとは全く関係ないことですから、理想に向かって継続して行動し、学び、成長していくことが最も大切です。
成功心理学NLPに、「T.O.T.Eモデル」と呼ばれる考え方があります。
目標やゴールの達成のためには、様々な方法を試してみて、その結果・反応を受けて次の方法を試していくというものです。
例えば、目の前のドアを開けようと思った時、押してみても開かなければ、手前に引いてみますよね。
そんなの当然だと思われるかもしれませんが、日常での生活や、理想の姿・ゴールの実現に向けた一つ一つの行動をこの考え方に当てはめてみると、
意外と途中で諦めたり、投げ出してしまっていることに気付けます。
成果が出なかったのであれば、それは失敗ではなく方法が間違っていたということ。
「失敗はない、フィードバックがあるだけ」という考え方に基づいて、次の方法をどんどん試してみていけば良いのです。
成功や欲しい結果を手にするには、いくつ試せたか(行動できたか)が鍵となります。
4-2.行動を振り返り、学びを見つける
日々、経験・体験したことについて、「そこから何を学んだのか」を考える癖をつけるようにします。
体験したことや成功・失敗といった結果について、どうやったら自分の成長に結びつけることができるのか、
という視点を持つことで、成長マインドセットの考え方を強化することができます。
そして成功しても、失敗しても、なぜその結果になったのかという原因・要因と、現在の課題、そして今後の対策を考える癖もつけるようにします。
こうすることで、短期的な結果に振り回されずに、長期的な目標に向かって進んでいくことが可能となります。
例えば、商談やプレゼンの内容を受け入れてもらえなかったときには、
- ニーズの確認が不十分だった
- 資料が分かりづらかった
- 話し方の工夫が必要だった など
様々な原因が考えられます。
次の機会に、成功させるために、強化した方がよい箇所はどこなのかをきちんと振り返ることで、気づきや学びを得ることができます。
また、うまくいった要因があれば、それを応用してさらなる成果を生み出すことにも繋げられます。
厳しいようですが、ミスや失敗をした時にただがっかりしたり、悲しんだり、必要以上に自分を責めるだけでは、成長には繋がらないのです。
4-3.原因側に立つ(自責思考になる)
成功心理学NLPの考え方に「原因側に立つ」というものがあります。
一言でいうと、結果に対する原因・要因を自分に当てはめて、考えてみるということです。
何かうまくいかないことがあった時に、「もしも自分に足りない部分があったとしたら、それは何だろうか」と考えることで、改善点や気づきを得ることができます。
もちろん、自分は全く悪くない、環境や他の方に原因がある場合もありますが、自分の責任を正しく認識し、結果に対する責任を放棄しない、ということがポイントです。
また、注意していただきたいのは、全ての原因を「自分のせい」にして、「自分が悪い」と思い込むこととは違います。
例えば、あなたが送別会用のお花を手配することになったとしましょう。
発注もお会計も余裕をもって済ませて、後は届くのを待つのみ、という状況で当日を迎えます。
しかし、配送のトラックが渋滞に巻き込まれてしまい、時間になってもお花は届かず、結局、送別会までに準備ができませんでした。
こうした場合、普通なら渋滞のせいにしたり、花屋や配送の担当者の段取りの悪さを指摘したりするでしょう。
しかし、相手を責めるだけでは望む結果は手に入れられません。
このような時に、「もしも自分に足りない部分があったとしたら?」と問いかけてみます。
そうすると例えば、当日の朝や受け取り時間の少し前に電話で状況を確認していれば、もう少し早く、遅れる可能性があることに気付くことができたかもしれません。
そして遅れることが分かったら、こちらから受け取りに行くことも考えられますし近くの別のお店で新たに手配することもできたかもしれません。
こうして、目的や理想、ゴールを達成するための次の手段や、気づきを得ることに繋げることができる考え方が「原因側に立つ」と言うものです。
5.成長マインドセットを身につける際の3つのポイント
成長マインドセットを身につけるときに大切にしたいポイントがありますので、ご紹介していきます。
5-1.固定マインドセットが出てきてもOK
成長マインドセットを身につける過程で、固定マインドセットの考え方が出てきたり、
固定マインドセットに基づく判断・行動を取ったとしても、責める必要は全くありません。
3章でもお伝えしたとおり、マインドセットは誰でも、いつからでも変える事ができますが、とはいえ、1日、2日でできるほど簡単なものではありません。
人は習慣の生き物と言われていますから、長く染み付いた考え方を変えるのは、一筋縄ではいかないものです。
ですから、もしも固定マインドセットが出てきたら、まずはそれに気づいたことを褒め、そのタイミングで、成長マインドセットに切り替えていけば良いのです。
また、どのような時に固定マインドセットに陥りやすいのか、
どのような行動を取ってしまうのかといった情報を蓄積していくと、
傾向が見えてきますので、改善にも繋げやすくなります。
T.O.T.Eモデルの考え方で、うまくいかないときには、他の方法を試してみれば良いということです。
5-2.結果よりも、努力・プロセスを大切にする
行動を増やすと、失敗や成功といった結果も増えていきますが、
結果に一喜一憂するのではなく、努力やプロセスを大切にしていくことで、長期的な理想の姿やゴールに向かって立ち止まることなく進めるようになります。
成長マインドセットでは、失敗しても、落ち込んで諦めずに挑戦をし続けること、
そして成功したとしても、そこで立ち止まらずに次の目標に向かって進み続けること、こうした考え方がポイントです。
4章でご紹介したように
「どのような挑戦・行動・努力ができたのか」「経験や結果から何を学んだのか」「次に自分ができる行動は何か」など、
努力やプロセスに着目して気づきや学びを得ることが大切です。
5-3.心理的なマイナス面を解消する
思うように成長マインドセットを身に着けられない場合には、もしかしたら心の傷やトラウマなど、心理的なマイナス面が足を引っ張っている可能性があります。
心理的なマイナス面を持っている場合、成長しようとアクセルを踏みながら、反対の足でブレーキを踏んでいるような状態になってしまいます。
そして心の傷は、大小は別として、誰しも必ず持っているものです。
自分にはそうしたものは無い、と仰る方ほど、実は心の深い部分に傷を抱えていたり、大きなトラウマを持っていたりします。
ですから、思うように成長できないと感じた際には、一度自分の内面としっかりと向き合うことをおすすめします。
成功心理学NLPは、別名「脳と心の取扱説明書」とも呼ばれていて、心理的なマイナス面の解消に有効な、セラピーやカウンセリングなどのスキルから、
長所をさらに伸ばしていくためのスキル、コーチング、目標達成・問題解決の能力を高められるスキルなど、人生をさらによくするために欠かせないことを幅広く学べます。
自分の内面と向き合いたいと考えた場合には、こうした実践的な心理の学び・スキルに触れることも大切です。
6.成長マインドセットを身につけて、人生を切り拓く
成長マインドセットを身につけられると、
- あらゆることに、前向きに取り組める
- 困難や逆境に負けなくなる
- 生きやすさを手にできる など
自分の手で人生をコントロールし、自由に切り拓いていくことができるようになります。
そして、仕事やビジネス、人間関係といった、人生のあらゆる場面で、望む結果を手にすることへと繋がっていきます。
今回ご紹介した方法が、あなたやあなたの周りにいらっしゃる方が成長マインドセットを身につける際の参考となりましたら幸いです。
記事の途中でご紹介した成功心理学NLPには、成長マインドセットを身につけることに使える考え方や、
これまでに身に着けてきた習慣・考え方を柔軟に変化させるスキル・学びも多数あります。
他にも、
- 目標達成、問題解決の能力を高めること
- 心の傷など、心理的なマイナス面を解消すること
- 人生の方向性やミッションを見つけること など
人生を切り拓いていくうえで押さえておきたい学び・スキルを、バランス良く身につけることが可能です。
そうした特徴から、経営者やビジネスパーソン、医師、看護師、教師、弁護士、コーチ、カウンセラー、主婦、学生など幅広い職業の方が学ばれています。
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参考
- キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる! 」の研究』草思社