著:ミッキー・フェール
「一部の人は2つの山を登る人生を送る」
『メリトクラシー(能力主義)
の道徳的危険性』の中で
ピーター・ブルックスは述べています。
人はまず、学校を卒業し、
キャリアをスタートさせ、家庭を築く
という一般的な形式をこなそうとします。
社会が神聖化し、追い求めるよう
条件付けた方法で成功したいと考えます。
多くの収入を得たい、家を買いたい、
家庭を築きたいという願いのすべてを
達成することで幸せを感じます。
これが、
人々が登頂を目指す第一の山です。
それ自体に問題はありません。
ただし、そこで終わらないように
しなければならないのです。
一部の人々が登る第二の山について
意欲的に張り切るこの時期は、個人主義的で能力主義的な文化の強い影響を受けて形作られていきます。
自らのエゴにとらわれた人々は、卓越性を目指し、体重を減らし、特定の自己啓発テクニックを習得するなどの、
ゴールを達成することによってのみ、幸福や充実感が得られるという思い込みのもとに行動します。
この段階が永続することもあれば、自分ではまったくコントロールできない、予期せぬ出来事によって突然終わることもあります。
いわゆる「第二の山」を登る人々の人生では、社会が彼らの頭に植え付けた概念に従って思い描いてきた、
あらかじめ計画された直線的な存在を、中断させるような出来事が起こっています。
この外的な出来事が持つ力によって、個人主義的で能力主義的な価値観に従ってのみ生きることの問題が露呈します。
一部の人々に起こるこの覚醒は、成功を収めたものの、それが満足につながらないと彼らに気づかせます。
人生にはさらなる何かがあるはずだと気づくのです。
もっと高い目的が必要だったことを知ります。
失敗を体験する人々もいます。
仕事を失った、経済的に破綻した、悲劇に見舞われたなどの人々です。ガンを患ったり、子供を亡くしたりする人々もいます。
こうした悲劇によって、第一の山での勝利は、さほど重要ではなかったことに気づきます。
人生とは、大きな逆境の瞬間にどう対処するかがすべてであることを、彼らは理解するのです。
悲劇によって押しつぶされてしまう人もいます。
しかし、ひとつの扉が閉じれば、別の扉が開くことに気づく人もいます。
こうして覚醒した人々の中には、この時点で人生を大きく変える人々が大勢います。
企業での仕事を辞めて小学校の教師になったり、何らかの社会的、政治的大義に身を捧げるようになったりします。
逆説的ですが、これこそが多くの人が人生の目的を見つけることに、深い恐れを抱く理由です。
人生を完全に変えなければならなくなること、そしてそれによって必然的に最も恐れていたことが現実のものとなることを恐れます。
それゆえ、自分の仕事や存在の意味について、深く問うことを避けようとします。
彼らにとっては、第一の山か第二の山か、どちらか一方しか存在しないのです。
第一の山がエゴの強化と自己定義だとすれば、第二の山は、より大きなシステムやコミュニティに属することを意味します。
第一の山が何かを得ることだとすれば、第二の山は貢献することです。
しかし、山の例えの代わりに、エゴとソウルを両側の皿に乗せた天秤を想像してみるのはどうでしょう。
私たちは常に、エゴを養うかソウルを養うか、この2つの状態を行き来していると想像するのです。
もちろん、完全な均衡は幻想かもしれませんが、ゴールを目指すのと同時に、
周囲の人々や世界にポジティブな影響を与えられるよう、目的意識を持つための努力をすることはできます。
組織の場合、一部の人々はただ個人の利益を追求し、給料を得るためだけにそこに所属しています。
しかし、仕事に意義を見出し、他者の人生にポジティブな違いを生み出す意図を持って組織に属している人もいます。
組織によっては、共通の大義にコミットし、自身のエゴから「組織のソウル」と呼ばれるものへと忠誠心を向けることが期待される場合もあります。
人は、互いを大切に扱いません。
長年にわたる超個人主義的な第一の山エゴ文化が、人と人との絆を弱めてきたというのが真実です。
エゴのみに集中し、何を犠牲にしてでも成功する方法だけに集中することは、歪んだ部族主義、断絶、そして精神的かつ道徳的危機をもたらします。
しかし、エゴを養うこととソウルを養うことのバランスを取ろうと努力する人は、憎しみや分断、部族主義ではなく、
高い目的と有意義な人間関係に基づいた新しい種類のコミュニティを形成する道を切り開くことができるのです。
著者について
ミッキー・フェール:心理学者であり、シリアルアントレプレナー(連続起業家)でもある。
また、コーチ、ファシリテーターとして、組織や個人が高次の目的を見出す手助けをし、その2つを結びつけることで、より良い結果と精神を生み出すことを支援している。
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NLPトレーナー ミッキー・フェール(Mickey Feher)プロフィール
著者より許可をいただき掲載しています。
https://www.psychologytoday.com/us/blog/on-purpose/202006/why-are-we-so-fearful-of-finding-our-purpose
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