怒りはパワフルな感情です。
そして怒りの感情はとても大切なものです。
ただし、
その感情に任せて振る舞ってしまうと、
あなたを後悔や罪悪感で苦しめ、
時には人生を狂わせるほどの、
インパクトになり得ます。
もし、怒ってしまう自分を、
本気で変えたいと思うのでしたら、
怒りの原因を根本から見つめることが必要です。
ここでは、怒りの原因と、
怒りの感情が起こる仕組みや、
怒りとの向き合い方をご紹介していきます。
著者:足達 大和 |
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当サイトの運営元である「NLP-JAPAN ラーニング・センター」の専属トレーナー。5,600回以上という圧倒的な回数の研修実績を持つ。 NLP-JAPANラーニング・センターとは、日本最大手の「NLP総合スクール」で、NLP業界の世界5大組織と連携。日本で唯一、NLPの基礎から大学院レベルまでの学びを提供している日本最高峰のNLPトレーニング機関。 |
目次
1.怒りが起こる原因と仕組みとは?
怒りは、大きく分けると以下3つの原因で生じます。
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(1)期待通りに行かない(前提が崩れる)
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(2)正しい/大切だと思っている価値観を否定される
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(3)体調不良(コンディションが悪い)
原因がわかれば再発防止も可能です。
あなたの状況に当てはめ、「怒りのコントロール」へお役立てください。
1-1.期待どおりに行かない(前提が崩れる)
怒りの原因となる期待とは、人に対して勝手に抱いている「こうしてくれて当然/やってくれて当たり前」と、あてにしていることです。
【そうなって当然】という気持ちが前提にあるため、自分の期待通りにならなかった時、「なんでっ!」と、裏切られた気持ち、あるいは否定された気持ちになりがちです。
ここから怒りが生じます。
期待があるだけに落胆もあり、怒りの感情をコントロールしにくいのです。
例えば以下のように、仕事や家庭での出来事による怒りも、前提が崩れて起きているのです。
出来事 | 期待していた前提が崩れた結果 |
---|---|
仕事で、お客様のところへセールスに向かった時に、部下や後輩が重要な書類を忘れてしまった。 |
重要な書類を忘れるはずはない。 「なにをやってんだ!」と心の中、あるいは実際に言ってしまう。 |
家庭で、子どもが宿題をせずに遊びに行ってしまった。 |
宿題を済ましてから遊ぶのが当たり前。 「宿題くらい遊ぶ前にやりなさい!」と心の中、あるいは実際に言ってしまう。 |
こういった場合には、過剰な期待をもたず、「日常はイレギュラーの連続である」と思っていれば、怒りにあなたのエネルギーを奪われることはありません。
デキる人は、このような考え方を持っているので、柔軟性を発揮して冷静に対処することができます。
知っておきたい点は、すり合わせなしに、あなただけで常識にしていることで、このような怒りは生じるということです。
考えてみるとわかりますが、あなたの前提を事前に相手と確認できている状態であれば、このケースによる怒りは軽減されます。
ポイントは、あなたはわかっていても、相手が知らない場合があることを自覚することです。
「言ったつもり」
「言わなくてもわかっているはず」
「そんなの当たり前」
この状態を減らしていくことで、「期待どおりに行かない」という原因による怒りは、解消されます。
1-2.正しい/大切だと思っている価値観を否定される
怒りの原因となる価値観というのは、あなたが心から大切にしていることです。
モチベーションの源泉とも言えます。
人によっては「大切にしている価値観 = 周囲にとっても正しいこと」と思っているケースもあります。
こうした価値観に対して「同意や賛同を得られない」「ないがしろにされる」「雑に扱われる」と、人は価値観を否定された/傷つけられたと感じ、怒りの感情が湧いてきます。
自分が大切にしている価値観につながっているため、怒りもひとしおです。
特に正しさに関連する価値観が否定されたと感じる時、ことさら怒りは大きくなり、怒りの感情をコントロールするのが困難かもしれません。
価値観は、人生や仕事、人間関係などのテーマにより異なります。
「〇〇で大切にしていることは?」と質問すると、以下のような例があります。
テーマ | 価値観 |
---|---|
仕事で大切にしていること | 「成果」「スピード」「楽しさ」「成長」「やりがい」など |
家族関係で大切にしていること | 「笑顔」「やすらぎ」「つながり」「思いやり」「安全」など |
例えば以下のように、仕事や家庭での出来事による怒りも、価値観が否定されて起きているのです。
自分の価値観 | 他者に価値観を否定された結果 |
---|---|
自分は仕事で「結果」を大切にしたいと思っている |
他の社員から「結果より、経緯が大事だよ。楽しくやろうよ」と言われて、自分の価値観を無視されたような気がしてしまいます。 許せない気持ちになり、怒りが湧きます。 |
自分は「平等」「誠実」「安全」を大切にしている |
政治家の横暴や不正をニュースで知り、許せない気持ちになります。 価値観が侵害されて、怒りを感じます。 |
自分は外食で「量」を大切にしている | 味は二の次なので、「量」が少ないと「この食事の量にお金を出すのは嫌だ」といった嫌悪感がでて、怒りが生じます。 |
このように仕事、家庭、恋愛などの人間関係や、趣味から経済、健康といった人生の広い分野、さらに細かい状況や場面において、人はそれぞれ大切にしたい価値観が存在しています。
一つの見方として捉えると、これら価値観の集合体を「自分自身」と表現してもいいかもしれません。
つまり、自分自身を大切な存在だと思いたいからこそ、自分の価値観を相手から否定されて怒りを感じるのは、当然のことになります。
この原因による怒りも、「前提」と同様、あなただけがわかっていて、相手は認識できていないということが深い部分での原因です。
言い方をかえると、あなたの大切にしている価値観を相手が否定したり、侵害しているのではなく、あなたとは異なる「その相手が大事にしている価値観」を言っているだけだったりします。
もし、そういったことが理由だとわかれば、過剰な怒りの反応をすることもなく、円滑なコミュニケーションを進めていくことができます。
1-3.体調不良(コンディションが悪い)
怒りの原因となる体調不良とは慢性的なもの、突発的なもの、不健康な生活を原因にするものがあります。
いずれにせよ、体調不良の時は心の余裕がなくなりがちです。
普段なら笑いながら許せることへもイライラしてしまいがちです。
普段の自分の気持ちとは違い、切れやすい状態であることが注意点です。
何かをきっかけにボッと爆発する状態とも言えますね。
さらに先程お伝えした、「期待を裏切られる(前提が崩れる)」と「正しい/大切だと思っている価値観を否定される」と合わさると、とんでもない怒りに発展することも・・・。
つまり、健康で健全な状態を維持することで、冷静な対応や偏見のないものの見方ができる状態を作り、怒りに対処することができます。
2.怒りは、実は重要な感情?
怒りをコントロールする第一歩は、「怒り」がどんな状態なのかを知り、受容することです。
この章では脳科学と心理学の側面から、「どのような点を意識すれば、怒りをコントロールができるか」をご紹介します。
2-1.怒りを抑えると、やる気も低下する
怒りのホルモンは、やる気の源や、行動するエネルギーになります。
怒りを感じている時、私たちの脳内では、ノルアドレナリン(米国ではノルエピネフリン)という神経伝達物質のホルモンが過剰に分泌されています。その伝達物質は人の活動の源ともなるのです。
そして、朝起きると、活動のホルモンとしてノルアドレナリンが分泌されます。
ノルアドレナリンが分泌される量 | 生じる状態 |
---|---|
適した量が分泌される | 起きてからの、日常の活動がしやすくなる |
過剰に分泌される | 人によってはイライラしたり、怒りっぽくなる
※ノルアドレナリンには、興奮作用があるため |
「怒り」はどうにかしたいですが、「活動のホルモン」という側面から考えると、ノルアドレナリンがないと、活動のエネルギーが低下し、やる気にも影響します。
また、カウンセリングの世界では、「怒りや悲しみの感情を感じないように切り離すと、喜びやワクワクといった感情も感じられなくなる」と言われています。
ですから、脳内のホルモンだけでなく心理的な側面からも、怒りの感情は抑えるのではなく受容し、どのように昇華し、活用するか、という視点が必要です。
2-2.原因を理解しないと、怒りは再発する
ただ単純に怒りをなくそうと努力してみて、その瞬間の怒りは解消できても、相手を変え、状況を変え、時間を変えて、同様の怒りはまた起こってきます。
単純に怒りをなくそうと思わず、まずは怒りを受容し、その原因は何か、よく理解しておく必要があるということです。
心理療法の見地から、怒りを調べていくと、怒りの感情は単なる一つの感情ではなく、いくつかの異なる表現があることがわかっています。
日本発祥の心理療法のひとつにあるSAT(サット)療法では、怒りの感情は次のような表現でまとめられています。
怒り系の感情 |
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怒り、悔しい、不満、敵意、嫌悪感、不信、攻撃心、拒否感、憤り、憎しみ、軽蔑、うらみ、むかつく、 恥ずかしい、自己嫌悪、同情心、後悔、自責、罪の意識、罪悪感、(強い)情けなさ |
心の声・言いたい言葉 |
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ふざけるな/ばかにするな/ちゃんとしてよ/バカやろう/じぶんばっかり/いいかげんにして/なんであの人が/わかってよ/ (自分に対して)情けない/なにやってんだ/怠けるな/ごめんね |
よく見てみると、怒りは単純な一つの感情ではありません。
様々な状況でその姿を変えるものです。
感じている対象も、他人や出来事といった外的なものだけではなく、自分にも向けられる感情だということです。
※SATとは「Structured Association Technique」の略で、筑波大学名誉教授の宗像恒次氏によって開発された理論です。
そして、あなたにとって役に立つ情報をもう一つ。
怒りの感情の原因を知るには、自己理解が助けとなります。
上記、感情や心の声で見たように、あなたが本当に感じていることは『怒り』だけではない場合がよくあります。
自分の傾向や思考パターンを理解することで、やっとそこから自分自身をコントロールすることができるようになります。
実践心理学NLPは、あなたの器を大きくしていく上で、きっと大きなきっかけになるでしょう。
2-3.怒りは、あなたの成長の機会になる
怒りは、まずは受容して、その後に捉え方を変えることで、成長の機会として活用することができます。
たとえば、以下のように。
- 「失敗した分だけ学びがある」
- 「ピンチはチャンスである」
- 「影があるから光がある」
怒りをなんとか封じ込めようとしても、やる気のエネルギーを低下させ、怒りが再発する可能性が高くなります。
そこで役立つのが、怒りを成長の機会に変える3ステップです。
3ステップ |
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あなたも経験があるかもしれませんが、怒りの支配下に入ってしまうと、通常の自分では考えられない嫌な言動をしてしまうのが、私たち人間です。
ですので、言いたいことを飲み込んだり、爆発させるのではなく、まずは怒りの感情に気づくことへ集中してください。
怒りの原因はその時々で様々でしょう。
あなただけの怒りの原因を突き止めてください。
本当の理由は何か?それを知るだけでも対処しやすくなります。
そして対処方法を見つけ、実践してください。
この後、具体的な方法をご紹介しています。
3つのステップを意識していくことで、怒りに翻弄されることなく、怒りを成長や学びにつなげられるようになるでしょう。
2-4.怒りのパターンはプログラミングされている
怒りのパターンはプログラミングされています。
「怒る → マイナスの反応や捉え方、言動を取る」という無意識のものです。
これを心理学NLPでは「無意識のプログラミング」と呼びます。
例えば、怒りをコントロールできない人はこんな反応や行動を取ります。
出来事 | 感情 | 反応・行動 |
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気に食わないことが起きる | 怒る | ものに当たる/破壊する |
自分をバカにされたと感じる | 怒る | 周囲の人へ感情をぶつける/口撃する |
自分の主張を受け入れてもらえなかった | 怒る | 溜め込んで、溜め込んで爆発させる |
自分が認められなかったと感じる | 怒る | お酒、SEX、暴力に走る |
言いたいことが言えないまま、物事が進んでいく | 怒る | 我慢し続け、ストレスから体調を崩す |
このようなパターン(無意識のプログラミング)は、過去の体験や経験により、つくられます。
そして、一度、自分の生き方のパターン(プログラミング)ができあがると、その後は条件反射のように、パターン化された反応をするようになっていきます。
あなたがいくら優しい気持ちで『本当は、怒ったりしたくないんだ』と思っていても、特に幼少期に作られたプログラミングの発動は強力で、止めることが難しいのです。
ここに怒りをコントロールするのが難しい原因があります。
その一方で、自分にプログラミングされたものは、プログラムの上書きで、変えることができます。これが怒りのコントロールを簡単にする秘訣です。
それを心理学NLPでは、「リプログラミング」として、具体的な方法を確立しています。
3.自分の内面をさらに変えていきたい方へ
怒りの感情からくる、衝動的な言動は、時には大きく人生を狂わしてしまうほどのインパクトがあります。
そして怒りをコントロールするのは、正直簡単なことではありません。
自分を良い状態にコントロールできるようになっていくには、根本からの対処が必要で、自分の内面(心)を理解し、自分の器を成長させていくしかないのです。
それがNLPや心理学のアプローチを推奨する理由です。
怒りをコントロールできるようになっていくには、この3ステップをくり返しながら、根気強く、自分と向きあうことが欠かせません。
- 「怒りに気づき」
- 「原因を理解し」
- 「対処できるやり方を実践する」
これを続けていくうちに、少しずつ自分が怒りの衝動にかられて後悔するようなことや、誰かを傷つけるようなことが減り、イライラした不快な感情を感じ続けることも少なくなっていくでしょう。
今日ご紹介したNLPという心理学は、内面からの変化を促していくための手法が豊富にあり、「感情のコントロール」はNLPで実現できることの一つです。
本気で自分を変えたいと思われる方は、NLPの学びを取り入れていかれることをおすすめします。
もし、ご興味をお持ちでしたら、NLPについての無料レポートがございますので、つづけてご覧ください。
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