著:アンドリュー・T・オースティン
「MoM
(メタファー・オブ・ムーブメント)」とは、
メタファーを通じて
人の深層心理を分析し、
本人さえ気づいていない
心理状態を読み解くメソッドです。
そのため、
『悩みの"本質"を見抜いてしまう術』
このようにも言われています。
普段、人が何気なく使っている
メタファーに隠された
意味を理解することで、
自分や他人の本質や抱えている
問題を見抜き、
深い気づきを得ることができます。
自己や他者理解に役立ち、
特にコーチやセラピストなど、
人の成長と問題解決を
支援する方にとって
強力な武器となります。
MoMでは数十種類に分類された
メタファーそれぞれが、
その人が直面している問題の状態を
明確に表していると考えます。
あなたもMoMを学び、
様々なメタファーを知れば
深層心理のディープな世界に、
どっぷりとハマるかもしれません。
MoM事例:新たな命を誰かに吹き込むこと
メタファー:「私の内面は死んでいる(I'm dead inside)」
さて、ちょっと難しいメタファーです。
一般的に言って、メタファーを完全に分析するには5ワード(英語で)以上が必要ですが、この発言は4ワードに短縮されています。
それでも、どう分析できるか見てみましょう。
まずは慣用句から。
- あなたの内なる命は残り少ない。
- あなたは生ける屍、ゾンビです。
- あなたは大した人生(命)を持っていない
- 内面では腐っているのに、外見ではそれを隠している。
- あなたの中には腐りかけているものがある。
- あなたの人生は終わったも同然。
- あなたは自分自身の人生(命)を生きていない
- 冷たい人。
この死の構造(つまり内面が死んでいるという構造)を持つこのクライアントは、
自分にとって重要な存在である人々にもこのことを伝えられないという問題を抱えていることは間違いありません。
これは密かな死であり、外見で覆い隠されている内面での変化を意味しています。
精神医学の世界では、このような状態を「微笑みうつ病」と呼んだりします。
内面では悲劇的なほどの鬱状態であるにも関わらず、外見は幸せそうに見える人です。
こういう人は、自分がどれほど辛い思いをしているかを他人に伝えようとしても、多くの場合、誰も信じてくれませんし、真剣に受け止めてもくれません。
若者の自殺を報道するニュースを見ていると、どれほど衝撃的だったかと周囲の人々が饒舌に語っているのを目にすることがあります。
彼はいつも幸せそうで、自信に満ちていて、生きる理由しかないような人だったと。
その自殺は誰にとっても完全な謎となります。何かがおかしくなっていたなど、誰も疑ってすらいなかったはずです。
感情的な死には、社会的に受け入れてもらえる台本があります。
それに従わなければ、あなたの感情状態の深刻さは、周囲から無視されるか、取り合ってもらうこともできません。
このメタファーからわかることは、身体に関するものであること、そして身体の死に関するものであるということです。
これは「痛みのメタファー」または、情緒的負傷のメタファーと呼ばれるものであり、アイデンティティに関連しています。
つまり、その人が「自分とはこういう人間である」と感じていることと、他者から見たその人との間に不一致が起こっているのです。
では、次の2つの可能性について考えてみましょう:
- 外側が死んでいて、内側が生きている
- 内側が死んでいて、外側が生きている
ここで死んでしまったのは、外側のアイデンティティ(つまり、他人からどう見えるか)ではなく、
自分自身をどう見て、どう体験しているかという内側のアイデンティティです。
誰もそのことに気づいていない可能性が高いでしょう。
外側の死は、何かが違う、明らかに問題があると誰もが気づきます。
この人は、他者との関係において嘘の状態を維持しています。
このような状態での自己分析は、まるで検死解剖をしているかのように感じられるかもしれません。
何かを変えたり、対処したりするにはすでに遅すぎるのです。
残されたのは、他者がクライアントに対して抱いている偽りのポジティブな見方だけです。
このクライアントのメタファーを探求するのであれば、私はこのクライアントが言う「死」のメカニズムをもっと詳しく知りたいと思うでしょう。
そうすることで、この人が他者とどのように関わっているかが明らかになり、何を変えるべきかのヒントが得られるはずです。
この時点で言及しておきたいのは、身体的な負傷のメタファーである「痛み」のメタファーは、
その人の感情と人間関係のスキーマ(情報を理解し整理するための心の枠組みや構造のこと)を表しているものであり、
彼らの感情面での人生において繰り返される中心的な問題やパターンを明らかにしているということです。
そしてこのメタファーからわかることは、彼らは閾値に達していること、このような有害なスキーマをこれ以上支えていられないということです。
物事を変える必要があります。
他者との関わり方、世界における自分の立場などを変える必要があります。
...この人は、自分のためにより良い人生を作り出す必要があります。
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NLPトレーナー アンドリュー・T・オースティン (Andrew T.Austin) プロフィール
著者より許可をいただき掲載しています。
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