著:クリス・ハルボム
NLPにはひとつの前提があります。
それは、「成功するために必要なすべてのリソースを人はすでに持っている」というものです。
NLPの開発者であり、著者であり、トレーナーであるロバート・ディルツ氏は、
ジェネラティブNLPと呼ばれる新たなプロセスの開発によって、NLPの進化の道筋におけるこの前提をさらに一歩前進させました。
ジェネラティブNLPの根底には、自分が持つリソースに焦点を当て、
それをいかに充実させられるかに意識を向けることで(自分の問題に焦点を当てるのではなく)、
人は問題への解決を無意識レベルで引き寄せることができる、
なぜなら、そもそも解決空間から行動しているからだという考え方があります。 それゆえ、問題が意識に浮上する前に予防し解決することができます。
基本的にジェネラティブNLPが私たちにもたらしてくれるのは、
人の潜在能力とリソースをさらにホログラフィック(立体投影的)で体系的なものにすることによって、それらを明らかにし、解放し、強化する機会です。
1994年にクリス・ハルボムがロバート・ディルツ氏に行ったインタビューの一部をご紹介しましょう。
クリス:
ジェネラティブNLPとはどのようなものですか?そして、心理療法や健康とウェルビーイングの未来にどのように当てはまっていくとお考えですか?
ロバート:
解決策や問題解決はリソースを持つことから生まれるというのが、私の考え方のひとつです。
そして、ジェネラティブNLPの目的は、リソースとなるものをさらに活用し、拡大し、豊かにすることです。
少なく見積もっても、ジェネラティブNLPが実現してくれるのは、
過去に持っていたリソースや現在持っているリソースからどれかを選んだり、それらだけに頼ったりするのではなく、
新たに構築できるようにすることだと思います。
現在あるものを発展させることができるのです。
二つ目に、ジェネラティブNLPそのものが一つのアプローチとなり得る可能性もあると思います。
どういう考え方かと言うと、
十分に強いリソースを構築すれば、症状において、そのリソースが解決できる問題が引き寄せられてきます。
そんな感じでリソースを発達させるだけで問題が解決されてしまうのです。
わざわざ問題を探してきて解決するのではなく、特定の症状や問題を解決できるリソースがすでにあるからです。
クリス:
どのようにしてジェネラティブNLPを開発し始めたのですか?
ロバート:
いくつかのことに影響を受けました。
ひとつは、自分にNLPをどう使うかを考えていたことです。
というのも、NLPを使おうと思うとき、私はどれだけ熟練した使い方ができるかとか、モデリングの観点などから考えます。
私がNLPを使うときは、
「よし、問題はどこにあって、どう解決しようか?」
とは考えません。
新しい何かを発見すると、私はすぐに
「これで何ができるだろう? これよりもっといいものがあったら、何が起こるだろう? こうしたらどうなるだろう?」
と自分に尋ねます。
だから、問題解決のためのアプローチではなく、物事がどのように展開するのかを確かめるための探求的なアプローチだったのかもしれませんね。
他にも影響を受けたのは、NLPに基づいて行動する上で、
システムやシステム的手法の統合にますます関わることが多くなったことでしょうか。
これらを統合する上で特に大きな影響を受けたのは自己組織化の考え方です。
システムというものは、自己組織化し自己発展するという考え方を深く考察しました。
NLPが主張する、
「人は必要な能力とリソースをすでに持っている。それがまだ使えていない唯一の理由は、それらを動員し、引き出し、活性化できていないからである」
という信念を深く受け止めるとしたら、確かに私たちにできる最も大切なことのひとつは、
そうしたリソースを活性化し、開発するための具体的なツールや手法を持つことだと思います。
クリス:
ジェネラティブNLPでは時間の概念が重要な役割を果たしているようですね。
アリストテレスやアインシュタインの時間観を踏まえると、一般的な時間に対してどのような概念をお持ちですか?
そして、ジェネラティブ・チェンジのプロセス全体に、時間はどのように関係していますか?
ロバート:
アリストテレスは、人が時間にとらわれているのは興味深いことだと考えていました。
彼はこう言っています。
「時間とは、以前はそうであったが今はそうでないもの、そしてまだそうではなく、決してそうはならないものからできている」。
つまり時間とはそうでないものからできているのに、私たちはそこに巻き込まれてしまっています。
おそらくアインシュタインも時間を構成概念として捉えていたんだと思います。
そしてもちろん私は、時間を道具として捉えています。
現実を処理するためにすべての表象システムを使いたいのと同じように、時間にアプローチする方法もたくさん持っていたいですよね。
内的地図の正しい順番を見つけるためではなく、内的地図を区切って現実を異なる方法で捉えるためのツールとしての時間という認識を持つためです。
私が開発したジェネラティブNLPのプロセスのひとつに、未来に自分を置き、
「このリソースは時間とともにどのように変化し、進化するだろうか?」
と問いかけるというものがあります。
そして、未来の自分の身体でその変化を感じることができたら、このように言います。
「もちろん、その身体で感じている感覚は未来の感覚ではなく、今現在の身体で感じているものです。
その未来のリソースは、未来のステートに紐付くのではなく、現在のステートに紐付くべきものだと気づきましょう。なぜなら、実際に現在にあるものだからです」。
このように時間の概念を使ってその人の未来のリソースという体験を現在の第一ポジションに持ってきて変化を起こすわけですね。
時間の概念といえば、もうひとつ探究できることがあります。
先入観のようなものです。
人はよく、自分の時間に対する認識や自分の人生の記憶だけに自分を制限してしまいます。
もちろん、時間とは個人の記憶に限定されるものではありません。
例えば、「先入観の場所」のような、時間を捉える空間などを活用することができます。
その空間では、時間を単に直線的に捉えるのではなく、可能性の風景として捉えながら、自分の人生を見ることができます。
実際、人生とは直線ではないですからね。むしろ風景のようなものです。
そしてその人の人生は、数多くの選択肢が存在する、広大な風景を通る道筋なのです。
クリス:
ジェネラティブNLPについて、人々に知ってほしいこと、または強調しておきたいことはありますか?
ロバート:まず思い浮かぶのは、NLPにおける変化の基本形は、何かの問題空間にリソースを持ち込むのは自分だということです。
しかし、変化を起こすことの核心は、使うテクニックの種類ではなく、どのリソースを活性化できるかということです。
問題に焦点を当てるのではなく、ゴールに当てるのでもなく、変化に焦点を当てるためには、どの様なリソースやNLPツールを持っているかによります。
私にとって、NLPツールが持つ本当の価値は、最近の私の著書にもあるように、
「未来のためのスキル」ですとか、
「夢見る者たちのツール」だと思っています。
単にビリーフを変えるとか、健康問題を改善するとかではないのです。
どのような問題を解決するのかが大事なのではなく、どのようなリソースを持ち、使うことができるのかが大事なのです。
リソースを自分の中で発達させるために使う時間こそが、未来に違いを生み出します。
そういう意味で、ジェネラティブNLPが伝えたいメッセージのひとつが、過去と未来は単なる概念だということです。
個人史を変えることの本来の目的は、
「現在を豊かにする」ことです。
未来を計画することの本来の目的は、
「現在からリソースを動員する」ことです。
それによって一人称現在形で人生が生きられるように。後は、常に進行中の体験にリソースをもたらすことです。
なぜなら、それが未来へと進むための方法だからです。
可能な限り、充実した自分として人生を生きるためには、過去からも、未来からも、できる限りたくさんのリソースを現在に持ってくることです。
クリスティン・ハルボムは、国際的に認められているNLPトレーナーであり、執筆家であり、プロフェッショナル・コーチでもある。
NLPコーチング研究所の共同設立者であり、
共同開発したWealthyMind™プログラムは、世界20カ国以上で教えられており、大勢の人々がその人生で望むものを作り出す助けとなっている。
また、『コーチング1on1で成果を最大化する心理学NLP』の共著者でもあり、
富の意識、NLPコーチング、システム思考などに関する多数の記事を心理学ジャーナルや雑誌に発表している。
著者より許可をいただき掲載しています。
https://krishallbom.com/interview-with-robert-dilts-on-generative-nlp-and-how-using-it-can-help-you-become-the-best-version-of-you/
© 2020 Kristine Hallbom
クリス・ハルボム氏、ロバート・ディルツ氏から日本で直接学べる講座はこちら
NLPトレーナー クリス・ハルボム
(Kris Hallbom)プロフィール
NLPトレーナー ロバート・ディルツ
(Robert Dilts)プロフィール