マネジメントとは、経営資源を負託されて組織をまとめる活動のことを意味します。
具体的には「部下」および「組織」を持ち、規定の権限を使って組織を運営し、会社から与えられた使命を果たしていくこと、それを実践することがマネージャーの仕事になります。
今回は、「マネジメントとは何か」を5分で理解できるように分かりやすくまとめました。
目次
1.マネジメントの意味
マネジメントとは、辞書を紐解くと「経営」や「管理」を意味します。
自分の管理するチームの部下の能力を最大限引き出し、仕事の成果を出すことで、組織の目標を達成してゆくのがマネージャー業である、と捉えることができます。
アメリカの経営学者であり、マネジメントの概念を確立し、マネジメントの父と呼ばれるピーター・F・ドラッカーは、
「マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない」と言っています。
(参考文献 マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則)
組織で働く人たちに成果を上げてもらうために、仕事の進み具合やモチベーションなど、様々な角度から効率よく、生産的に管理してゆくことがマネジメントだといえます。
今回は、このマネジメントの業務内容のうち、主要な5つをご紹介します。
(1)最初に組織としての目標を設定し、
(2)次にその目標を達成するための道のりを管理します。
(3)そして部・課・チームなどの単位でメンバーの気持ちをまとめ、
(4)(5)部下一人ひとりの能力の開発や、心身の健康を守ることを行います。
この5つの業務内容について、1つずつ解説していきます。
2.具体的なマネージャー(管理職)の仕事とは?
それでは、マネージャー(管理職)の業務を具体的に見ていきましょう。
2-1.(1)目標管理のマネジメント
まずは、自分が率いる部署の目標を達成すべく、部下の実績や働きを管理していくことが挙げられます。
その目標管理のマネジメントで重要なのは、目標の設定です。組織全体の理念や経営目的を踏まえた上で、短期、中期、長期の目標を定め、ゴールに向けて、タイムラインを引いて設定し、段階を追って管理していきます。
【具体的な行動】
- 定例ミーティングで経営ミッションと目標を繰り返し伝える
- 部署全体の目標を共有するとともに、個人別に目標の自己申告を行い、全体目標とすり合わせ、お互いに納得がいくものを設定する
- 同時に評価基準を設定する
- 目標は定性/定量の両面から設定し、適切な評価ができるよう、プロセスなのか結果なのか、評価の軸を確認する
- 部下に、目標達成に向けて期待することを、期初に面談等で伝える
2-2.(2)業務進捗管理マネジメント
部下の目標が定まったら、その達成に向けて業務のフォローやサポートをしていきます。進捗状況をしっかりとつかむ一方で、部下がのびのびと働けるように見守る心構えも必要です。
【具体的な行動・業務】
- 月別、週別、日足(日毎)など管理体制を決める
- 進捗率・達成率両方で進度管理を行う
- 進捗が予定通りの場合、さらに上を目指せるよう指導、激励する
- 進捗が思わしくない場合、担当者と原因を確認し、必要に応じて帯同訪問や関係部署との交渉サポートなどを行う
- 成功事例、失敗事例をデータ化して、今後に活かせるよう知見(ソフト)を蓄える
2-3.(3)チームマネジメント
どんな仕事も1人ではできません。チームで業務を行うためには、役割分担を行い、目標達成に向かってチームをリードしていくことが必要です。
【チームワークの定義】
言葉としてよく耳にする「チームワーク」とはどのようなことか、知っていますか?
神戸製鋼でラグビーチームの監督を務めた平尾誠二氏は「私の考えるチームワークは、一人ひとりが持つ爆発的な力をどう発揮させるかがポイント。無限の可能性を秘めた個人の配置や使いどころを考え、編集するのがリーダーの役割」と言っています。
同じ船に乗っている者同士が気持ちを一つにして、うまくできた事例を共有し、利用し合って成果を生み出すことにつなげていく。一方、苦戦している部下には助け舟を出し、チームとしての全体目標の達成ができるよう協力していくことがチームワークです。
チームマネジメントを心掛けるマネージャーはチームワークの要です。チームのメンバー全員が一致団結して、業務にあたるための良い雰囲気づくりや、士気の盛り上げを行いましょう。
【具体的な行動・業務】
- チームメンバー各自の、モチベーションの源を確認し、メンバーの得手不得手や経験を踏まえた役割分担を割り振る
- 目標達成施策の主担当者を決める
- メンバーそれぞれが、目標達成に向けて、役割分担を踏まえた能力を発揮するという意識を共有させ、協力して働く空気をつくる
【チームワークの構築で重要なポイント】
チームワークの良いチームづくりのポイントは、どのようなものなのか考えてみましょう。お互いの得意分野が違うことを認め合い、その上で信頼し合い、各自が個性・持ち味・実力を自発的に引き出して効果的に発揮する姿が、理想的なチームと言えます。
- 部下と気持ちを合わせる
- やっかみや、他のメンバーを下に見るといった気持ちが起こらないよう、各自の自己肯定感を尊重する
- 役割分担を明確にする
- マネージャーとして、公平にサポートする
- 個性を見極めた上で、褒めるときは人前で、叱るときは物陰で行うよう心掛ける
2-4.(4)人材育成マネジメント
部下が自分の能力を最大限発揮してくれれば、チームとしてのパフォーマンスは最大化されます。また、いずれ自分の部下が他の部署、プロジェクトなどに自信をもって巣立っていけるように、計画的に能力の開発・育成を行っていくのもマネジメントの1つです。
本業での指導はもちろんのこと、研修参加や通信教育、外部の勉強会などにトライするよう促すことも有効です。
【具体的な行動・業務】
- 部下自身の個性や適性を見極め、目指すべきポジションや業務を一緒に考える
- OJT、Off-JTを効果的に組み合わせ、能力開発のサポートを行う
- 一段、二段上のポジションでの考え方ができるように指導していく
2-5.(5)メンタルヘルスのマネジメント
ストレスの多い昨今、部下のメンタルヘルスをケアすることは重要な役目です。また、物理的な健康・体調管理に対しても、留意する必要があります。以下の調査結果をご覧ください。
厚生労働省の平成24年「労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)」によると、60.9%の労働者に仕事や職業生活での強い不安や悩み、ストレスがあり、うち90%の労働者がそれらについて「相談できる人がいる」と答えています。その相談相手は「家族・友人」に次いで「上司・同僚」が第2位となっています。
実際に悩みやストレスについて相談したことがある労働者のうち、66.9%の人が「上司・同僚」に相談しています。
マネージャーは、部下の相談に乗る前提として、小さなサインに気づき、相談しやすい雰囲気をつくるといった配慮が必要です。
【具体的な行動・業務】
- 部下から相談しやすい雰囲気をつくる
- 部下をよく観察し、いつもと違った雰囲気がないか注意する
- 相談を受けたら親身になり、必要な協力を惜しまない
- ストレスマネジメントについて勉強する
上司・経営者と、部下との間に位置するマネージャー(管理職)の仕事は、経営やマーケットの動きを伝え、組織全体の目標達成を推進し、部下一人ひとりの心身の健康管理まで気を配るなど、多岐にわたります。
いずれも、チーム全員が気持ちよく働き、十分な成果を上げることにつながるテーマです。ぜひ、積極的に取り組んでみてください。
ここまでマネージャーの仕事内容について見てきました。それでは、その仕事をうまく遂行していくための能力、マネジメント力をどう上げていくか考えてみましょう。
3.マネジメント力を上げるために
あなたの能力やスキルが認められて、今のポジションに就いたということに自信を持ち、さらに磨きをかけていってください。マネジメント力は、なかなか一朝一夕で身につくというものではありません。自らのキャリアアッププランを立て、地道に実行していきましょう。
その結果、部下から「頼りがいのある上司だ」と思ってもらえれば、お互いの士気も高まり信頼度が増し、チームの運営は好循環に入ります。
さて、マネジメント力を上げるポイントとして、例えば次のようなものがあります。
- 人の心理を知る
⇒ チームや人を動かすためのコミュニケーション力になる - 理想のリーダーをお手本にする
⇒ 自分のリーダーシップとタイプの似ている人をモデルとし、迷った時の参考にする - コミュニケーションの量を増やす
⇒ 相手の経験や知識の量、相手の状況に合わせてコミュニケーションをとることを心掛ける
コミュニケーションの量が不足すると、マネージャーが部下の気持ちを把握しきれず、チームが上手くまとまりません。人の気持ちや心理を知ることは、チームを動かす上で絶対に必要なことです。
忙しくて時間が取れない、という状況もあるとは思いますが、部下の問題解決のためにも、そして人間の「認められたい」という承認欲求をしっかり満たすという意味でも、聞き上手で相談しやすい上司を目指してみてください。
まとめ
企業環境が日進月歩で変化している昨今、マネージャーは組織の一員として、部下と共に最大のパフォーマンスを発揮していくことが求められています。
周りの声に耳を傾けながらも、自分の考えをしっかり示し、ぶれることなくチームを率いていってください。
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