ミルトン・モデル
言葉が持つ影響力(言葉そのものと使い方)を武器にする。
言葉だけで他者に対する、影響力を持つことができるのが、
ミルトン・モデルと呼ばれているNLPの言語スキルです。
ミルトン・モデルとは、天才セラピストと呼ばれている
「ミルトン・エリクソン」が使う巧みな言葉の使いを研究・分析・体系化することで生まれました。
言葉だけで他者の潜在意識に対して、変化を与えることに長け、
現在でも心理療法の現場などで使われています。
さらに優れたコミュニケーターや講師、ビジネスパーソンなど、他者に影響力を持つ人ほど、
ミルトンモデルのような言葉の使い方を使っています。
そこでこの記事では、ミルトン・モデルについてご紹介します。
1、ミルトン・モデルとは?
ミルトン・モデルとは、ミルトン・エリクソンが使っていた
「相手の潜在意識にダイレクトに働きかける」言葉の使い方を体系化したものです。
例えばセラピーにおいて、クライアントにとって望ましいと思う変化をもたらすために、
セッションを行う場合をイメージしましょう。
セラピストの言葉に対して、クライアントの中で心理的な抵抗・反発が起きるとはよくあります。
するとクライアントが望む変化をもたらすことができません。
そこでミルトンモデルを使い、相手の無意識にメッセージを伝えます。
「クライアントが抵抗せずに(意識の抵抗がおこらず)、無意識レベルで同意をしてくれる」話し方になるため、変化を起こしやすくなります。
このような無意識に対して影響力を持つ言語スキルになるため、セラピーの現場だけでなく、仕事やビジネス、日常のコミュニケーションなどでも効果を発揮するのです。
【ミルトン・モデルを使用している例】
「相手が抵抗せずに、無意識に同意してしまう」ことについて、一例を見ていきましょう。
例えば、下記のように誰かを褒めたとします。
上記のように、ダイレクトに伝えたとします。
この時、もしも相手が、自分自身を「かっこいい」と思っていない場合、どうなるでしょうか?
多くの場合、
「そんなことないです」「いえいえ」など、
否定・拒絶・抵抗が生まれることがイメージできるのではないでしょうか?
そこでミルトン・モデルを使うと以下のようになります。
目の前にいない「部長」の言葉として、メッセージを伝えることで、相手は否定することができず、「そうなんだぁ」と抵抗なく聞いてくれます。
なぜなら人は、基本的に目の前にいない人の話に、NOが言えないからです。
つまり心理的な抵抗が生まれにくいのです。
これはミルトンモデルの引用という言葉の使い方になります。
あるいは、誰かに頼み事をする時をイメージしましょう。
以下のように直接的な言葉でお願いするよりも、
以下のように頼む方が、相手が動いてくれやすくなります。
このように直接「~してください」というよりかは、間接的に「~していただけますか?」といわれる方が、言われた本人は同意しやすくなります。
2、人生やビジネスの現場で、特に役立つ『13のパターン』
ミルトン・モデルにはいくつかのパターンがあります。
NLP-JAPANラーニング・センターでは、私たちの人生やビジネス、
人間関係で特に役立つ『13のパターン』をお伝えしております。
【ミルトン・モデル13パターン】
①前提 | 伝えたいメッセージを会話やコミュニケーションの中に挿入する(折り込む)ことで、相手の無意識にメッセージを浸透させる。 |
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②読心術 | 相手の「心を読めている」かのように伝えることで、相手は「自分のことを分かってくれている」と思い、信用してしまう。 |
③主体の省略 | 主語を入れす「誰からのメッセージであるか分からないメッセージを伝える」ことで、相手は「誰が言っているのか分からないため、否定しずくなる。 |
④因果関係 | 「A(理由)だからB(伝えたいメッセージ)」のように、伝えたいメッセージに対して理由を添えることで、相手が受け取りやすくなる。 |
⑤異なるものの同一視 | 「A(意味づけ)=B(伝えたいメッセージ)」のように、伝えたいメッセージに意味付けすることで、相手が受け取りやすくなる。 |
⑥普遍的数量詞 | 「みんな」「すべて」「いつも」などを使い、伝えたいメッセージを普遍化することで、相手が受け入れやすくなる。 |
⑦不特定の動詞・名詞 | 「成功(する)」「成長(する)」など、どのような意味合いにも取れる「抽象的な言葉」を使うことで、相手は自分事として当てはめやすくなる。 |
⑧除法助動詞 | 「できる」「可能性がある」という表現を使うことで、相手は否定しづらくなる |
⑨引用+α引用の延長 | 「他者の言葉」を引用することで、伝えたいメッセージに対して「否定的な感情」になりにくく、受け入れやすくなる。 |
⑩否定命令 | 「◯◯(伝えたいメッセージ)するな/しないで下さい」という表現を使うことで、伝えたいメッセージを無意識に浸透させる。 |
⑪挿入命令 | 直接的に命令するすることなく、相手にとってほしい行動を促し、同意を得る。 |
⑫アナログ・マーキング | 非言語のふるまいを使い、メッセージを強めたり、際立たせる。 |
⑬ダブルバインド | 2つの選択肢を用意し、相手の意思で決めたように思わせ、実はとってほしい行動を取ってもらう。 |
ミルトン・モデルの詳しい使い方(仕事やビジネス・人間関係での活用法)は
『NLPマスタープラクティショナー認定コース』で学ぶことができます。
3、ミルトン・モデルの活用例:厳選3つ
ここでは多くの人が無意識に使っているミルトン・モデルの言語スキル「①前提」「⑩否定命令」「⑪挿入命令」の具体例をご紹介いたします。
【前提】
前提とは相手に受け入れてほしい内容を、
気づかれることなく言葉として伝えてしまう話法です。
使い方の例をあげるとこうなります。
「いつもよりも、よりいい表情をしているね!」
「いつもよりも~」と言われることによって、この言葉をかけられた人は、
「私はいつもいい顔をしている」というメッセージも伝わります。
こうして良い影響を与えられるようになります。
【否定命令】
否定命令とは「◯◯しないでください」という否定的な命令を相手に伝えるのですが、その言葉を聞いた人は、どうしても言語化されている「◯◯」をイメージしてしまいます。
例えば、
「まだこの商品は購入しないでください」
どこかのサイトの中に、このようなキャッチコピーを見たことが、あるかもしれませんね。
このように言われると先に商品を購入することをイメージしてしまいます。こうした積み重ねが購買欲求を高めたり、商品購入を前提で、物事を考え始めたりします。
こうすることで相手へ影響を与えられるようになります。
【挿入命令】
挿入命令とは「埋め込まれた命令」ともいって、
聞き手に気付かれずに、指示や命令を伝えるパターンです。
例として、
「お風呂に入る前に宿題を終わらせてしまってもかまわないよ」
このように伝えると、「宿題しなさい」という代わりに、
「お風呂に入る前に」と、
さりげなく宿題を終わらせるタイミングを指示する効果があります。
さらに命令されるよりも、受け入れやすい言葉を使っているため、より効果的と言えます。
4、まとめ
このように、NLPのミルトン・モデルは人の心に影響をもたらす言語スキルになります。
とは言いましても、ミルトン・モデルの持つ可能性や影響力の1%もお伝えできてはいません。
そのためミルトン・モデルを身につけ、実践することで、言葉で人に影響力を持つことが、
できるようになっていきます。その一方で使い方を間違えたり、雑に使うと、
マイナスの影響を与えかねません。注意深く使いましょう。
こうしたミルトン・モデルは、
NLPの上級クラス『NLPマスタープラクティショナー認定コース』で学べます。
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